コロナ禍だからこそ、際立つ差別化戦略とは?

2020年3月から数えると9か月たった今も、新型コロナウイルスの影響は未だ収まりません。

むしろ静かに第二派が来ているようです。

良くないニュースには事欠きませんが、企業は求人を減らし、失業率はコロナ前の2%弱からじわじわと伸び、3%超えとなりました。

個人消費支出は、9月の前年対比でマイナス10.2%と驚異的な下落です。

特に落ち込みが激しいのは、観光・宿泊、飲食、小売・百貨店

当然です。

これらの業態は密を作ることによって、収益を上げてきたビジネスモデルですが、それができなくなったのです。

目次

観光・宿泊、飲食、小売・百貨店はどうすればいいのか?

収益を上げるビジネスモデル自体が破壊された今、これらの業態は、どうやって生き抜いていくのか?

完璧な答えなんてあるかどうかも分かりません。

しかし、難しいかもしれないけど、こうすればより多くの業態が繁盛までいかなくとも生き抜いていけるんじゃないかという方法は、あります

しかも、97%を占める中小企業の中でも、年商1憶円以下の弱小企業ほど、チャンスはあると思うのです。

今こそ、「人」の力を活かす

以前、イタリア料理店の店長を任されていた時、自店の強みとは何かをとことん考えたことがありました。

その店では、料理もサービスも他店に比べれば優れていましたし、お店についている常連客も多く、それを強みということもできました。

ですが、元も子もないような感じですが、いくら料理やサービスの品質を追い求めても、他店もそれなりに頑張っているので、突き抜けて、差別化するのは困難です。

じゃあ何が、自店にしか出来ないことで、なぜ、お客さんはお店に来てくれるのか?

そう考えた時、結局「人」でしか差別化できないんじゃないか?と思いました。

人は、ひとりひとり異なる色がある

同じ人間は、2人といません。

料理も価格もサービスの品質も多少の差ならば、いちばん違いを出せるのはそこで働く「人」ではないでしょうか。

以前、飲食店を利用する動機が「美味しい物を食べに行こう」から「あの人のいる店に行こう」と変わってきてるのではないかと書きました。

例えばコロナ禍で緊急事態宣言が出された時、気にかけた飲食店はありませんでしたか?

「あの人の店、どうしてるかな?ちょっとメールしてみよう」

となったお店はありませんでしたか?

コロナ禍でも、大きな影響を受けなかった飲食店は何をしていたか?

2020年4月5月と、業績が前年比7割減と大幅に減少した飲食店は数多くありました。

でも一方で、3割減にとどまったお店もあったのです。

地域によっても条件は異なりますが、3割減にとどまったお店はどういうお店だったか?

実は、共通点があります。

それは、顧客との関係性が深いお店だったこと。

そういった意味では、特に20席から50席までの小さなお店が優位でした。

弱小店舗が巨大店舗に勝つ

大打撃を受けたのは、多店舗展開しているレストランチェーンや、大手企業です。

規模が大きい程、当然ですが維持費が莫大です。

東京新宿の一等地に出店していた居酒屋は、月間コストが2000万でした。

それが1か月半、売上ゼロになったのですからたまったものではありません。

政府の持続加給金なんて、焼け石に水。

そのお店は3月の段階で、撤退を決めていました。

逆に、ひとりで経営している小さなお店の維持費は、ほぼ家賃だけなので2か月くらいなら何とか耐えしのぐことができたわけです。

小さなお店を廃業危機から救ったSNS

2020年10月、上場している飲食企業のコロナにともなう閉店件数は450件とニュースになっていました。

それはもちろん、氷山の一角でしょう。

未上場の飲食企業を含めると、どれくらいのお店が閉店を余儀なくされたでしょうか。

2か月は耐え凌いだ個人店の中にも、廃業したお店は多くおられると思います。

もしかすると、顧客との関係性が深くとも、あることをしていなかったが為に持続できなかったお店もあるかもしれません

そのあることとは、SNSです。

SNSは、密を作らない世界を繋げることができた

周囲が7割減であえいでいるとき、なんとか3割減程度で持ちこたえていた飲食店の共通点は<顧客との関係性が深いお店>だったと書きましたが、それに加え、SNSが大活躍しました。

休業中も、再開した時の為に料理開発をSNSで発信した人、親しい顧客に連絡取り続けた人、SNSでふだんは見せない料理の作り方など投稿した人・・・

現実的に蜜を作ることで収益を上げてきた飲食店が、デジタルで蜜を作らない世界を繋げていく事で、顧客との関係性ができたのです。

思わぬ効果に繋がったのは、家にいる時間が増えた分、SNSに触れる機会も多くなり、常連客だけでなく、まだ認知さえされていなかった顧客からも認知されたり、「再開の折にはあの店に行こう」とお客さんも十分な情報収集できるようになりました。

コミュニケーションできることが、来店動機になった

事前にSNSで繋がっていると、たとえそのお店に来たことがないお客さんでも、お店の人とスムーズに話ができます。

「あ、あなたが〇〇さんですね!ツイッターではいつもお世話になっています!」

という感じで。

人は誰かとコミュニケーションをとることで、承認欲求が満たされるところがあります。

せっかく食べに行くなら、そうやって話が出来る人のいるところに行こう、となるのも自然な話なのです。

コロナ禍だからこそ、「人」で差別化する戦略は有効だと思っています。

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