料理とワインについて

美味しさの構造

 

人生でいちばん美味しかったのは山頂で食べたおにぎりでした。

もっとも記憶に残る食の原体験は人それぞれあると思います。

私にははっきりと残っている思い出の味があります。小学生の頃、よく山登りに連れていってもらいました。いくつかコースがあるのですが、子供の足で2時間ほどで山頂にたどり着きます。何が楽しみって、山頂で食べるおにぎりです。中でも私は梅しそを乾燥させて粉末にしたものをご飯に混ぜたおにぎりが好きでした。米は少しべちゃっとするくらい柔らかい方が良かった。それを冷たい麦茶で流し込む美味しさといったら!

これまでの人生で最も美味しかった記憶は?と聞かれたら、そう答えます。多くのレストランを回ってきましたが、これに勝る美味しい記憶はありません。

そういえば、イタリア料理店で勤めていた時の常連様が言っていました。

「禅寺に修行にいったことがあって、3日間何も食べさせてもらえなかった。でも、3日後にだしてくれた麦飯の旨えこと!」

また、私の友人は、

「昔つき合っていた彼氏と老舗のフレンチにいったんだけど、そこでサービスしてくれた人が面白くて!食べた料理よりそのサービスに感動しちゃった。だからすごい記憶に残ってる。」

一度、街頭インタビューしてみたいですね、これまでの人生でいちばん美味しかったのは何ですか?と。

美味しさの構造

「美味しさ」を感じるのには、段階があるように思います。マズローの欲求5段階説はご存知でしょうか?

マズローによると、人の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲するといいます。

たとえば一番低層の欲求が生きていくための本能的な欲求で、食べたい、寝たいなどの「生理的欲求」。これが満たされると、今度は安心安全な暮らしがしたいという「安全欲求」へと階層が上がり、次は「社会的欲求」。友だちが欲しい、社会につながりたい、帰属したいなどの欲求ですね。

それが満たされると、人に認められたい、尊敬されたいという「尊厳欲求」が芽生え、最高層の欲求は「自己実現欲求」です。自分で創造したい、という欲求ですね。

「美味しさ」を感じるための段階もこの欲求5段階説に呼応しているように思うのです。3日何も食べなくて、やっとありつけた麦飯の美味しさに感動したお客様は、毎日食にありつける安心安全な環境では、「旨え」とまで思わなかったでしょう。

また、彼氏といったフレンチでサービスに感動した友人も、共に食事をする相手との関係もなければ、そこまで楽しめなかったかもしれない。

料理+環境+α=感動するほどの旨さ!

レストランで美味しい料理を提供するのは当たり前です。私はここに、環境+αを加えたい。

環境というのは、まずお客様の段階です。美味しさを感じる段階としては、安心安全に食べれるというところからスタートでしょう。私はここに、いつまでも記憶に残り、感動するほどの旨さを環境+αによって演出したい。「美味しい」じゃなく「旨い!」じゃないとだめ。経験的に「美味しかったです」というのはお世辞。「いやあ旨かった!」「感動したよ」というのが本当だと思います。

その環境作りに、私はアウトドアとの融合はどうか?と考えています。明日、詳しく考察します。

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