サービス哲学

サービスマンの会話力

お客様を通して教わったこと

人から頂いた恩は計り知れません。

私事はあまり書かないようにしてますが、恩を記録することは、驕らず、縁を大事に運営していくことだと思いました。様々な機会に少しずつ、書き留めていきます。

京都・祇園

私の勉強になるんじゃないか?

有り難いことにお客様はそんな風に思ってくれていたのだと思います。京都・祇園のお店に連れていってもらったこともありました。いわゆる「いちげんさんお断り」のお店です。私の給料では到底、気軽に行けるお店ではありません。

料理自体はあまり覚えてませんが、白トリュフが生で出てきたのは印象に残ってます。その香はとにかく素晴らしかった。妖艶な感じさえしました。

それからbarで舞妓さんと生まれて初めて話をしました。すごい、と思ったのはこの舞妓さんたちの会話力。私を連れていってくださったのは、中小企業の社長です。年の頃、50代前半。年々、増収増益。勢いのある経営者でした。その方の顔をつぶさないようにしながら、話を合わせ、若輩者の私にもちゃんと配慮してくれました。ただニコニコしてるだけではありません。つかず離れず、一線を保ちながら、絶妙な会話をするのです。まだ、20歳にもなっていないような子たちでした。

東京・六本木

そのお客様には泊りがけで、六本木のレストランにも連れていっていただいたことがあります。当時、ソムリエとして非常に魅力を感じていた、佐藤陽一さんのお店「MAXIVIN」。日本のソムリエ代表として、2005年に世界ソムリエコンクールに挑戦し、TV番組「プロフェッショナル」にも出演していたので、ご存知の方も多いと思います。

とにかく、会話が絶妙なんですね。ワインに限らず、言うこと成すこと新鮮で、勉強になることばかり。今でもはっきり覚えている会話のやり取りがあります。

どんなワインを飲もうか、相談しているときでした。私を連れていってくださったお客様は関西の方なのですが、佐藤さんが私たちに好きなワインのタイプを質問すると、お客様がこう答えました。

「そうですね、土の香がするワインとか、いいよねえ」

「というと、うつぼ公園ですか?それとも、住吉公園あたりのイメージですか?」

佐藤さんがさらっというと、お客様はうれしそうに笑って、

「え?なんで関西人だとわかった?」

「実は私も大阪出身なので。お越し頂いた時からわかってました」

「いやあ、まいったね!ほな、うつぼ公園でいこか!」

時間にして、10秒足らずの会話ですが、私には到底、真似できないと思いました。

ごめんなさい、関西の方以外はよくわからなかったと思います。解説すると、うつぼ公園、住吉公園というのは、関西の人なら、特に大阪の人ならよく知っている親しみのある公園なのです。

関西人は、自分が関西人であることを非常にポジティブに考えています。だから、関西圏を出て、関西の方ですか?といわれるとちょっと嬉しい。むしろ、お店でのやりとりを標準語で話すようにしながら、ぽろっと関西弁を忍ばせて、喜ぶようなところがあります(笑)それに気付いてもらうと、単純に嬉しいのです。

一流の会話力

佐藤さんは、私たちの会話を小耳にはさみ、関西人だと見当をつけていたのでしょう。軽妙なやりとりで、ともすれば低俗な空気になりそうなところですが、そうはさせず、むしろ知的で、ある種の緊張感を保ちながら、お客さんの喜びそうなポイントをくすぐっていくサービスには、計算された「技」を感じました。

レストランサービスがお客様にとって、魅力的になるのは、こういった一流の会話ができるかできないかで、大きく左右されると思っています。HICOはマニュアルではなく、人に魅力をつけるお店です。それは100年先も変わらない。それをぶらしてしまうと、人工知能や、ロボットに負けてしまうと思うからです。

お客様は前提として、人生をより豊かに生きるために、楽しむために、HICOに来る。他では出来ない体験を求めて。知識や技術も大事ですが、こういう会話のひとつふたつ、スタッフができるようになることで、よりHICOの価値も、人間の価値も高まると考えています。

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