料理とワインについて

美味しさとは何か?

科学的に美味しさを考えてみる

以前、美味しさの構造について書きました。

環境が美味しさに及ぼす影響が大きいと、その時に答えを出していますが、もう少し科学的見地から考えるとどうなるのか?人が単純に、口に入れたものを美味しいと感じるには、どういう条件が満たされている必要があるのか?

そんなことを考えていました。目に見えない感情的なものではなく、根拠のはっきりした美味しさの追求ですね。料理をして、お客様にご提供する以上、それが人の感覚や経験、カンに頼っていては、再現性がありません。料理を作る人が変われば味が変わる、というのでは、100年持続しない。

再現性を高める

その観点でいくと、料理は科学、と捉えることが重要です。目的は、再現性を限りなく高めるため。

白状すると、私は感覚で生きてきましたし、料理もカンに頼ることが多かった。でも、勉強すればするほど、事業を持続しようとすればするほど、それではだめだと気づきます。京都にある日本料理店、菊乃井の村田吉弘さんは、こういっています。

「勘とか経験に頼る料理はやめていきたい」

たとえ3年かけてようやく導き出した、ある素材の適正な加熱温度も、人に伝えるそうです。その方が、料理界全体のためになると。

多くの専門店が、自店のレシピを公開しないだけに、村田さんの姿勢は素晴らしいと思います。

栄養素を摂取できた時の快感

さて、人が感じる美味しさの正体は何なのか?

ずばり、栄養素を摂取できた時の快感です。栄養素とは、エネルギーとしての炭水化物、身体を構成するためのたんぱく質。このふたつです。

ただ、このふたつには、味がありません。炭水化物を分解する「糖」と、たんぱく質を分解する「アミノ酸」に、人が強烈に好む味があるのです。

味の構成要素

味の構成要素は主に5つあると言われています。

「甘味」「酸味」「渋味」「塩味」「旨味」

炭水化物を分解する糖は、もちろん甘味。

たんぱく質を分解するアミノ酸は、主に旨味になります。

そう考えると、確かにそう。酸味だけ、渋味だけ、塩味だけのものは、それだけであまり食べれません。甘味、旨味と比較すると補完的な味の要素に思えます。

ただ、アミノ酸には、旨味を感じる旨味アミノ酸だけでなく、甘味アミノ酸、苦味アミノ酸、渋みアミノ酸もあります。料理の完成度は、全体を通して、これらのバランスが優れているかどうかがカギです。

素材の好ましい風味をどう引き出すか?

面白いことに、「旨味」というのは、ひとつの素材に含まれる旨味だけで味わうよりも、他の素材の持つ旨味を組み合わせた時の方が数倍も強く感じることがわかっています。

たとえば、日本料理における昆布とカツオ出汁。昆布に含まれる旨み成分、グルタミン酸と、魚や肉など動物が持つ旨み成分、イノシン酸が豊富に含まれたカツオ節を合わせることによって、旨味自体が倍増するのです。

料理をする目的の一つは、ここにあるのではないでしょうか。

素材の組み合わせによって、単体では冴えなかった素材を光らせる。そして、調理することで、素材本来が持つ好ましい風味を最大限、引き出してくる。その無限の可能性から、これだ!と思うものを状況に応じて選択できることが料理の技術なのだと思うのです。

それには、何を、どのように、どうやって、どんなタイミングで、どのくらいの時間をかければいいかを、具体的に知っているかが大切です。だから、経験や感覚やカンよりもむしろ、化学的に組み立てた方が理にかなっている。

なぜ、美味しいと感じるのか?根拠をもって考えていきたいと思います。

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