出張料理ビジネスの設計

レストランをするなら、腕ならししながらお小遣い稼ぎが出来たらいい、そんな軽いノリでやってみました。

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出張料理ビジネス。

といっても、本業の合間なので、できても月間4回ほどです。単価は一人あたり3000円~。ご要望があれば、ワインサービスもできます。

目次

出張料理概要

さて、その出張料理概要ですが、ベーシックな料金体系、サービス内容を、戦略的に構築していきたいと思います。まずは、5W2Hで考えます。

いつやるか?(When)

毎週日曜日の晩7時~受付。完全予約制。予約は1週間前より。

誰に向けてやるのか?(Who)

  1. 外食できないファミリー
  2. マダムの食事会
  3. 誕生日などお祝い事をする集まり

最低人数は、4名様から。最大人数は、8名様迄。但し、料理内容によっては、20名様迄の大人数も可。

出張可能エリアはどうするか?(Where)

片道45分圏内。お客様自宅、パーティー会場、調理が可能な施設。

何を提供するか?(What)

イタリア料理をベースにした創作料理。+アルファで、ワインサービス。オプションで、ワインセミナー?(検討)

なぜ出張料理なのか?(Why)

  1. レストランをOPENするまでに料理スキル、接客スキルを少しでも磨くため。
  2. 開業資金として貯蓄するため。
  3. 人脈を広く繋げるため。

どのように出張料理の活動を広めていくか?(How)

  1. 知人を通して、口コミ
  2. Facebook
  3. 会員限定ホームページ

値段設定はどうするか?(How Match)

1人3000円~。出張料、サービス料込。料理内容が異なる5000円コースも用意。

+3000円で、ワインテイスティング・オプション(シニアソムリエによる料理に合わせたワインセレクト)を追加。

出張料理のメニュー構成

出張料理はお客様の要望に極力、応えていくつもりです。ただ、1人3000円からという価格設定ですから、ある程度、効率や原価率も考えておかないと、やるだけ損になってしまいます。そのため、ベーシックな出張料理プランを立てておく必要があると思いました。

出張料理コンセプト

出張料理コンセプトは、「自宅でレストラン料理を楽しむ」です。ですから、家で食べれるような料理にはならないよう、メニューは洗練されたものにしなくてはなりません。

レストランでしか食べられない料理、レストランでしか得られない経験、レストランでしか得られない感動を実現させたい。やはり<独自性>が大事になってきます。

メニューと採算

出張料理のメニュー構成におけるポイントは3つ。

1.2割の独自性の強い料理にとことん力を入れる

料理が5品あれば、うち1品を、とことん差別化し、他では食べれないような料理を作ります。見た目のインパクト、盛り付け、料理としての完成度、そして独自性、すべてにおいて、考えうる限り最高のレベルで提供できるよう考えます。いわゆる、スペシャリテですね。

2.ほぼ事前に準備できる料理にする

出張料理は、お客様のご自宅や、施設などに伺って、提供します。どんな環境かわかりませんし、トラブルが起こるかもわかりませんので、盛るだけ、切るだけ、温めるだけ、組み合わせるだけ、焼くだけなど、ある程度、あらかじめ仕込んでおける料理ばかりで構成します。

3.原価率は最低でも30%以内に抑える

3000円の料理プランなら原価で一人あたり900円を超えないようにします。

仕込みに5時間。移動・準備に1時間。提供に2時間。計8時間、労働コストがかかったとします。3000円×4人分の出張料理を受けたとして、利益額は(3000円-900円)×4人=8400円。時給に換算すると1050円。

これを下回れば、何のためにやっているのか分からなくなります。

顧客満足と効率、採算を考えると、メニュー構成のポイントは以上のようになると思います。

出張料理のプロモーション

プロモーションは、出張料理特設サイト+SNS。特にFacebook。ランディングページを作り、見込み客を集めます。まずは、Facebook広告。在住エリアを特定して、顧客セグメントを絞り、広告配信。いいね!をくれた人にダイレクトメッセージを送り、顧客フォロー。

さらにPPC広告(リスティング広告)で攻勢をかけます。

PPC広告

どういう流れかと言うと、出張料理のサービス・料金体系をまとめた特設サイトを作り、片道45分圏内のエリアに絞り込んで、PPC(ペイパークリック)広告を出すのです。

PPC広告とは、インターネット検索に指定したキーワードが含まれていた時、一番上に表示される広告で、1クリックされるごとに料金がかかるものです。これは、日本国内のどこでもエリアを特定できるそうなので、たとえば、エリアを「八王子」、キーワードを「出張料理」にすると、八王子に在住される方が「出張料理」で検索した時、検索画面の一番上に表示されるのです。

出張料理の特別サイト

出張料理のランディングページを作成します。そこでは、出張料理の概要を、1ページでまとめ、サービス内容、料金体系、イメージ画像、シェフソムリエ経歴と写真。普段、外食をしたくても出来ないターゲット層に向けて、デザインと言葉選びをします。

顧客はどこにいるか

要介護の高齢者を抱える方の中には、普段、外食したくてもできない方がたくさんいらっしゃいます。いま、4人に1人は65歳以上だという。知人で病院の事務員をしている人がいますが、病院内の80%以上は高齢者だと聞きました。

日ごろはそこまで実感しない環境で実感がわかずとも、少子高齢化社会の波は、確実に迫っています。飲食店が落ち込んでいく理由のひとつとしても、想定できる事実です。。

出張料理は、そんな高齢者を抱える家族層にとって、うれしいサービスではないでしょうか。料理提供から、後片付けまでやってくれる。何より、普段とは違う、食べたことのない洒落た料理が食べれる。人生をより豊かにするのに、こうした食の体験は、とても有意義だと思っています。

小さな子供さんがいる世帯

また、普段、外食したくても出来ない層には、小さな子供さんを抱える世帯もあると思います。この層は、たまにはオシャレして、結婚記念日のひとつでも外食したいという潜在欲求のある方もいらっしゃるはず。

同じような子供さんを抱える友人知人とのつながりもあるでしょうし、パーティーや誕生日会にも、出張料理の需要はありそうです。出張料理の顧客ターゲットは、普段、外食したくても出来ない方たち。

中でも有力候補は、

  1. 要介護の高齢者を抱える世帯。
  2. 小さな子供さんを抱える世帯。

ターゲット層は高齢者がいる世帯?

実は、テストで、出張料理のサービスを紹介したFacebook広告を出稿してみました。すると、ある方が、返信をくれたのです。その中にこんな文面がありました。

「体が不自由でなかなか外出できない人や、老人を対象にする、そんなシェフ聞いたことないのでは、ないでしょうか」

子どもがいる世帯か、高齢者がいて外食もままならない世帯が良いと漠然と考えていましたが、こうして客観的に言われると、勇気づけられます。それに、あくまで仮説であって絞り切れてはいませんでした。また、「料理を提供するのが、仕事だとお考えなら、その他大勢の料理人と同じになりますから、需要の有無に関係なく埋没してしまうかも、しれません」とも言ってくれました。

見ず知らずの人間にここまで親身になって言葉をかけてくれたことがまず嬉しいですよね。

敵がいない市場とは

いずれは、当たり前のターゲティングとなるかもしれませんが、出張料理の場合、外食したくても出来ない世帯。そこがニッチのマーケットかもしれないと思っています。Facebookを通して、つながりを持てた方の仰る通り、「体が不自由でなかなか外出できない人や、老人を対象にする」他の誰もやっていないこと、でした。

ちなみに、当社が想定している地域では他に出張料理サービスをしているところはありませんので、先に始めれば先行者利益を得れる可能性もあります。

出張ワインセミナー~人生をより豊かにするワイン講座~

出張料理ついでに、出張ワインセミナーというのをオプションでつけたらどうかと考えています。

ソムリエや資格取得を目指す方向でもいいのですが、より広く、人生をより豊かにするワインというテーマで行えれば喜ばれるかなと。

ワインセミナーだけでも請け負えます。個人宅や、集会所などに伺って、4~10人くらいの小規模で開催する出張セミナーなど。場所はお客様にお借りする。

ワインの魅力

ワインを味わう魅力は、遠く離れた異国の地の個性を感じさせてくれること。専門用語で、テロワールといいますが、ブドウが育った環境、造り手の想いや意図、気候条件、様々な要因で味は決まります。その種類たるや、他の飲料と比べ物になりません。

だからワインには、その土地の名前がそのままワイン名になっているものが数多くあります。世界一高価なワインのひとつ、ロマネ・コンティは、ヴォ―ヌ・ロマネ村にある、わずか0.85haのブドウ畑の名前です。

そうしたことを知っていくと、その地域の特色や、文化的・歴史的背景、造り手の想いなどがワインを飲んでリアルにわかるようになります。ブラインドテイスティングといって、銘柄を伏せてワインを試飲し、そのワインがどこの国で作られ、ブドウ品種は何で、収穫年は何年だったか?を推測する問題がソムリエ試験にもありますが、それができるのは、ワインの中にそれらを推測できる明確な根拠があるからです。

私もよく、親しい友人と、ミステリー小説で真犯人を推理するように、ああだこうだいってブラインドテイスティングしていましたが、非常に楽しい時間でした。

お客様は具体的に何に価値を見出すか?

さて、実際にワイン講習をする場合、そこに参加してくれるお客様は具体的に何を知りたいのか?お金を払ってまで、参加してくれる理由がないと、出来ません。私が面白いと思うことと、お客様が面白いと思うことが一致するとは限らない。

ブドウからワインになるまでを講習したところで、意味があるか?ソムリエの本格的なテイスティング方法を教えたところで、喜ばれるか?めったに飲めないワインを飲ませてあげたところで、価値を感じてもらえるか?

そこで、考えているのは「人生をより豊かにするワイン講座」というテーマで、数種類のワインを用意して、とにかく参加者全員でああだこうだ会話すること。ワインが生活にあるとこんなに楽しいよ、ということを伝えるイメージです。

もちろん、それだけでは、ハイアマチュアと大差ないですから、プロにしか伝えられない講義やテクニックも披露しますが、目的は、「生きててよかった!ワインと出会えてよかった!」と思ってもらえるまでに、価値を高めること。

これまでソムリエとして経験を積んできた中で考えていくと、お客様が喜ぶのは、自分好みの美味しいワインに出えた時。そして、それを共有できる人と会話する時。食事を美味しくして、人生を豊かにしていくのは、そんなやり取りの中から生まれるような気がします。

出張料理は儲からない?

とはいえ、出張料理は、プロモーションにかかるコストに見合うだけの利益は得れない可能性が高い。なぜかというと、テストしてみた結果、1件の顧客を獲得するのに5000円かかるからです。

もちろん、訴求やランディングページの改善によって、もう少し顧客獲得単価を抑えることは可能でしょう。ただ顧客単価3000円では割に合いません。毎日4人/件の出張料理をこなしたとしても、4人×3000円×30日=36万円。

原価率が30%として、利益は25.2万。1件当たりの獲得コストが5000円なら、15万円ですから、利益は10万…。

1か月頑張っても、たった10万。それなら、コンビニでアルバイトしてる方が良い。となります。

しかしこれが1万円の単価だと、まだマシです。4人×1万円×30日=120万。原価率30%+広告費15万を差し引くと、69万。これなら、平均年収の2倍くらいは、稼げるかもしれません。

ただ、それは休みなく働いた場合です。この事業で儲けるなら、1人あたりの単価は2万くらいにしないと、良い思いはできないでしょう。そう考えていくと、なかなかつらいビジネスモデルです……。

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