2021年、東京・高尾に開業予定のレストラン

これまでに出逢ったすべての「縁」と「恩」に感謝を込めて、
100年持続するレストランを創りたい。
訪れてくれた人にとって、人生最良の美味しい記憶となればいい。
そんな想いで、2021年の開業を目指し、現在、奮闘しています。
今は失敗ばかり。でも一歩一歩、近づいてるはず。
その記録をご覧ください。

開業奮闘記

感動するほど旨い刺身を提供するには?④

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膨大な経験と職人の技術は理論で超えるしかない

料理のひとつの大きな目的は、素材の好ましい風味をどう引き出すか、ということ。それは、

栄養素を摂取できた時の快感が、美味しさの源である

と考えるからでした。

ここまで、魚の旨みを引き出すには、どうするのが理想的なのか、科学的な根拠を元に、魚の〆方から仕入れまで考えてきました。

では、実際に、お客様にご提供して、感動してもらうには、どうすればいいのか、考えていきます。

理論で考える

理論でいくと、味わいの理想ははっきりしています。

理想は、先だって考えたように、ATP(アデノシン三リン酸)が分解され、IMP(イノシン酸)が最も高まった時。この時がいちばん、旨みを感じることが出来ます。

ただ、もうひとつ、考えておくべきことがあります。以前、定義した料理の設計5大要素では「味わい」の中に、食感とのバランスを考慮すべきとしました。

日本人は特に、食感にこだわる民族だと思います。刺身は、コリコリとした鮮度の良い状態、もっと言えば、死後硬直中の状態が喜ばれる。鮮度が悪くなると、食感が失われ、やわらかくなります。この食感のことを、日本人は「コシ」と表現します。

料理における味わいの理想は、イノシン酸の含有量が最高潮になり、食感も頂点にある時。このタイミングでお客様に提供できればいい、となる。

料理人の腕

では、現実的にどうやって、最高の旨みとコシを両立させるか。

ここが料理人の腕になります。

知識としては、これまで書いてきた、科学的な根拠を元に、魚の〆方、仕入れをフルに活かし、お客様に提供しようとしている魚が、あと何時間で死後硬直を迎え、旨みが最高潮に達するかを計算します。皿に盛られて、お客様の口に入る瞬間から逆算していくのです。

ATP(アデノシン三リン酸)がIMP(イノシン酸)に完全に分解される瞬間というのは、死後硬直後、しばらく経ってからであることは分かっています。それは魚種によって異なるので、経験値の浅い私は、水産研究所にいって魚種別のデータをもらってこなくてはいけません。

ここは、膨大な時間を重ねて経験として身につけている職人さんには勝てない。

ただ、最短で、同レベルの刺身を出すことはできると思います。理論的に可能だからです。

結論

感動するほど旨い刺身を提供するには?

私がいま出せる結論。それは、

もっとも旨みが乗る瞬間に合わせて、水分を抜き食感を高めること

死後硬直中は、まだ旨みが最高潮に達していません。旨みが最高潮に達するのは、しばらく後。

ATPの枯渇と共に、筋源繊維であるミオシンとアクチンが強く結合して、アクトミオシンを生成し、筋肉は固くなるのが死後硬直ですが、まだATP(アデノシン三リン酸)はIMP(イノシン酸)に至るまでの分解途中で、完全にIMPへと分解されていない段階なのです。

ということは、IMPが最高潮に達するときは、死後硬直が解け、身が柔らかくなっていく過程であるということ。この現象を、解硬といいますが、細胞中に存在するたんぱく質分解酵素の働きにより、アクトミオシンが小片化するのだそうです。

要は、柔らかくなった分、適度な硬さを取り戻せばいい、という理屈です。そのために、水分を抜き、弾力を戻す。そうすることで、旨みとコシを両立させた刺身ができます。

しかし、色々と考えられる問題があります。明日、引き続き、考えます。

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