遊び心

シャトー・ラフィット・ロートシルト|醒めない夢②

ロマネ・コンティとポンパドール夫人

5大シャトーの中でも華やかで、端正な印象を受けるのがシャトー・ラフィット・ロートシルト。

主人公は、ポンパドール夫人。時のフランス国王ルイ15世と織りなす醒めない夢の物語です。<第一話>はこちらからどうぞ。

ポンパドール夫人の悩み

時の国王、ルイ15世とロマンチックな出会いをはたしたのでしたが、ポンパドール夫人には、ひとつ、悩みがありました。

彼女は冷感症で、王の旺盛な期待に応えることができなかったのです。5年もすると、肉体的能力にも限界がきてしまいました。だからといって、せっかく手にした愛人の座を手放すわけにゆきません。

彼女はそういった肉体的な悩みを、ほかの女性を代用することで、解決します。

「鹿の苑」というハーレムを作り、王好みの若い女性を住まわせ、そのための教育を施したのです。話し方、しぐさ、それからその反応までも。王の好みを知り尽くしているからこそ、できる芸当でした。そうして、相手をさせると、たっぷりと報奨金を持たせ、里へ返したり、貴族のもとへ嫁がせたりするのです。

ある伯爵が言いました。

「さながら妖精ともいうべき天性の美点の上に、彼女はあらゆる才芸を身につけている。」

自らの感情を押し殺してでも、王から愛され続けること。それだけを彼女は願います。

策略

そんなポンパドール夫人がさらに王を引き付けるために、目をつけたのがワインでした。王は、ワインに興味を抱き始めていたのです。

あるとき、先代の王ルイ14世が死ぬまで愛飲したという、ブルゴーニュ地方の葡萄畑が売りに出されたと、ポンパドール夫人は耳にします。

ヴォーヌ・ロマネという村にある、とても小さな畑で、そこで獲れた葡萄からは、濃密な、官能をくすぐってやまない、芳香性に富んだワインができると評判でした。

さっそく彼女はその畑を買おうと乗り出すのですが、なんと、タッチの差で別の人物に買われてしまうのです。それを購入したのが、王の信頼がもっとも厚いとされる秘密警察長官コンテ公。

ロマネ・コンティ

コンテ公は頭の良いポンパドール夫人の存在をこころよく思っていませんでした。彼女は王への影響力を日増しに高めており、政治にまでも口を出すようになっていたからです。

ルイ15世はもとより、統治よりも狩猟に、財政よりも恋愛に、重きをおいてしまうタイプでした。自身ものちに、「私は統治に失敗した。その才つたなきためでもあるし、また補佐に人なきためでもあった。」と述懐しています。

ポンパドール夫人は、そんな王に大きな影響力を持っていました。

「このままポンパドール夫人が必要以上の権力を握るようになれば、国はおろか、自分自身も危ない。」

コンテ公はそう考え、ポンパドール夫人が動き出したのを知ると、すぐさま巨額の資金を投じて、その葡萄畑を買ったのでした。そうして彼は、勝利の証として、自らの名前をワインに残します。

それが、「ロマネ・コンティ」。

現在において最も高値で取引されるワインのひとつです。

先を越され、悔しがるポンパドール夫人。さて、彼女はどうでるか?続きは明日、お話します。

>>>シャトー・ラフィット・ロートシルト物語<第三話>へ

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