遊び心

オーパス・ワン|交響曲第一番②

真剣勝負!フランスワインVSカリフォルニアワイン

引き続き、カリフォルニアワインの代表的存在、オーパス・ワンの物語をお伝えしていきます。

時は、1976年5月。

パリの小さなワインショップで開かれた試飲会での話。近頃、品質が向上してきたカリフォルニアワインとフランスワインを銘柄を伏せて飲み比べてみようと、店主が気軽に企画したのでした。

それが、世界を揺るがす大事件になるとは・・・・。

<第一話>はこちらからどうぞ。

波乱の予感

白ワインから始まった試飲会ですが、プロフェッショナル達のテイスティングコメントを聞いた主催者スパリュアは胸騒ぎがしました。

これは大変なことになる!

結果を読み上げるとき、彼は声が震えそうになるのを押さえるのに必死でした。なんと上位4位のうち、3本がカリフォルニア産。

にこやかに談笑していた審査員たちは、それを聞いて凍りつきました。部屋中が騒然となります。

冗談だろ・・・?

こわばった笑顔を作っていったのは、バタール・モンラッシェを飲まずに捨てた、権威あるワイン雑誌の主筆者。

赤ワインの試飲が始まると、会話は、途絶えました。全員がワインに集中し、慎重になっています。提供されているフランスワインは、すべてボルドー格付け上位のワイン。1級シャトーからは、シャトー・ムートン・ロートシルトと、シャトー・オー・ブリオン。何世紀にもわたって世界の頂点に君臨し、その名声、品格、歴史において、肩を並べる者などいませんでした。常に一流であり続け、誰もが敬い、その酔いに、憧れた。

真剣勝負

「これはムートンだ。間違いない。」

名門レストランのシェフは言い切りました。スパリュアはリストを見ながら内心、ほっとします。

彼は正しい。フランスの赤ワインには古典的で際立った特徴があり、審査員たちにとって馴染みのある味わいなので、カリフォルニア産とは見分けもつきやすいだろう。彼らは意地でもフランスを1位にするはずだ。

「うん、これはカリフォルニアだね。」

3つ星レストランのシェフ・ソムリエは安堵の表情を浮かべながら言いました。彼も正しい。白ワインで、カリフォルニアを勝たせただけでも、ひどい裏切りなのに、赤ワインもその座を譲ってしまったら、国家に対する反逆だ。

が、結果発表を読み上げたとき、誰もが声を失いました。スパリュアの声だけが会場に響き渡ります。

激震

1位の座に輝いたのは、カリフォルニアワイン。2位にシャトー・ムートン・ロートシルト。シャトー・オー・ブリオンは4位でした。

審査員の幾人かはへなへなとその場に座り込みます。赤ワインでもカリフォルニアが勝った!

このニュースは、世界中を震撼させました。アメリカの新聞や雑誌はお祭り騒ぎ。

「カリフォルニアワイン、フランス勢を撃破!」

「ついにカリフォルニアがフランスを打ち負かした!」

カリフォルニアワインの価格は瞬く間に高騰し、その後、いくつもの高級ワインが生産されるようになります。

一方、フランスにとっては、国家レベルでの恥辱でした。この試飲会に参加した3つ星レストランのシェフ・ソムリエは、オーナーからこっぴどく叱られたそうです。

「あれはブラインド・テイスティングで、自分の判断基準に従って正直に評価した結果です。」

彼がそう説明すると、オーナーは怒鳴りました。

「君はわかっていないようだな。これは、フランスワインビジネスにおいて最悪のことだ!」

また、格付け審査員のもとへは職を辞めろと大量の電話がかかってきましたし、有名レストランのシェフはお客様から非難を浴びた。そもそもの企画を起こした張本人スパリュアは、フランスの一部のワイン生産者から徹底的に嫌われたそうです。自身のワイン・ショップ用に買い付けにいくと、「出て行け!裏切り者め!」と罵られるのも珍しくありませんでした。

この騒動は、シャトー・ムートン・ロートシルトのオーナー、フィリップ男爵にも伝わることになるのですが、続きはまた明日、お伝えします。

>>>オーパス・ワン物語<第三話>へ

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