料理とワインについて魚を究める

旨みの相乗効果とは?

 

当店では、「美味しさとは何か?」について、プロとして安定してお客さんに料理を提供する為、科学的に考えました。

このところ「魚のトマト煮込みを考察」していますが、その前に、旨みの相乗効果について、まとめておく必要があります。

美味しさについて

美味しさとは科学的には「栄養素を摂取できた時の快感」のことです。

栄養素はエネルギーとなる炭水化物と、身体を構成するたんぱく質ですが、このふたつには味がなく、炭水化物を分解する「糖」とたんぱく質を分解する「アミノ酸」に人が強烈に好む味があるのだという話でした。

だから「糖」と「アミノ酸」を軸に、人が感じる味の5つの要素「甘味」「酸味」「渋味」「塩味」「旨味」を調整すれば良い。

そこに食感、盛り付け、雰囲気、演出、プロモーションなど、細かなアレンジを施して、料理は完成します。

旨味

味の5大要素の中でも「旨味」をどう引き出すかが、素材との対話の中で大事です。

「旨味」は、ひとつの素材に含まれる旨味だけで味わうよりも、他の素材の持つ旨味を組み合わせた時の方が数倍も強く感じることがわかっているからです。

その旨みの正体は「アミノ酸」。人が強烈に好む味のひとつです。

ただ、ひと口にアミノ酸といっても、自然界に存在するのは500種。料理において大事なのは、次の3つです。

グルタミン酸とグアニル酸、そしてイノシン酸。

この3つのアミノ酸を含む素材を食べると、旨みを感じるということです。

相乗効果

3つのアミノ酸はそれぞれ、含まれている素材が違います。

グルタミン酸は、昆布、トマト、緑茶、ブロッコリー、白菜、チーズ、乳、アスパラ等があります。一般的には野菜のような植物系の食物に。

グアニル酸は、干し椎茸やキノコに。

イノシン酸は、鰹節、煮干し、さば、鶏肉、熟成肉、肉等があります。一般的には、魚肉や畜肉系に。

旨みの相乗効果は、同一のアミノ酸をとってもだめで、違うアミノ酸と掛け合わせることで倍増します。

グルタミン酸×グアニル酸、グアニル酸×イノシン酸、イノシン酸×グルタミン酸、というように。

パワーバランス

最も、旨みを強く感じるバランスは、1:1。

たとえば、昆布とかつおの合わせだしは、グルタミン酸を含む昆布と、イノシン酸を含む鰹節の相乗効果を得た典型例です。

その割合は、1対1がベスト、ということです。

ただ、気をつけなければいけないのは、単純に、昆布と、鰹節の重量を1:1にすればいいというのではなく、その昆布に含まれるグルタミン酸の量と、その鰹節に含まれるイノシン酸の量が1対1となったとき最高の相乗効果になります。

それを正確に計るのは研究施設でない限り実際には困難ですから、感覚が頼りです。それが料理人の腕ともいえるでしょう。