料理とワインについて

魚のトマト煮込みを考察4

 

しばらく間が空いてしまいました。

魚のトマト煮込みというシンプルな料理について、底が見えなくなるまで考えると決めたのでした。

シンプルだからこそ、独自の領域に達しないと価値がありません。

 

まず、素材について考えました。

その魚はいつ、どこで捕れたものか、その捕れた地域では他にどんな魚介類が揚がるのか、またどんな環境で育ったと想像できるか

魚が食べているエサと、捕れた時期、捕れた場所、この3つを知るのがポイントだと考えました。

詳しくは「魚のトマト煮込みを考察1」をご覧ください。

 

次に、素材へのアプローチです。

その魚の良い風味を引き立て、良くない風味は削り、相乗的に美味しく感じられるように手を加えること=料理すること。

人が強烈に好む味、「旨み」をどう扱うかが焦点でした。

詳しくは「魚のトマト煮込みを考察2」をご覧ください。

 

それから、メインの副材料となるトマトについて。

魚のイノシン酸とトマトのグルタミン酸のパワーバランスを量り、旨みの相乗効果を最大限狙うための工程と手順を考えたのでした。

詳しくは「魚のトマト煮込みを考察3」をご覧ください。

 

今回は、味の構成をデザインする副材料をどうするか、考えます。

 

味の構成をデザインする

人が感じる味わいには、5つの要素があるとしています。

「甘味」

「酸味」

「渋味」

「塩味」

「旨味」

以上5つの要素をもとに、素材の持つ特徴、強み、弱みを組み合わせ、デザインするのが料理です。

素材へのアプローチは大きく3つ。

生、加熱、冷凍。

それぞれの段階で、素材がどのように変化するのか知っておかなくてはなりません。

「魚のトマト煮込み」の場合、魚とトマトから、「甘味」「旨み」は引き出してこれました。

あとは足りない部分「酸味」「渋み」「塩味」をどのバランスで組み合わせるかが焦点です。

 

郷土料理から学ぶ

シチリアで魚のトマト煮込みに使われるのはケイパー、オリーブ、アンチョビ。

これを味の5大要素に当てはめると、まさに「酸味」「渋み」「塩味」において特徴のある副材料になります。

厳密にいえば、トマトで煮込むのですから、酸味の核となるのはトマトです。

ところがケイパーの酸味というのは、ともすれば飽きてしまう単調な味わいに独特の印象を与えることの出来る酸味です。

トマトの甘味を引き立て、酸味に風味を加えるので、互いの相性も非常に良い。

仮に、ケイパーがなかったら、この料理はシチリアらしさを欠くことになるでしょう。

そういう意味では、オリーブ、アンチョビも同様です。

オリーブは渋味も演出できる素材で、独特の香りも出ます。

この香りがなかったら、とたんにシチリアらしさを欠くことはいうまでもありません。

アンチョビは旨みを伴った塩味が特徴で、副材料というより調味料として真価を発揮します。

 

プロヴァンス風

フランス・プロヴァンス地方でも、トマト煮込みは有名です。

シチリア同様地中海に面するので産物も近いものがあるのですが、特徴的なのは、オリーブオイル、にんにくに加え、香味野菜とハーブを使うこと。

シチリア風と違うのは、味わいのボリューム感が全体的にスリムで軽めです。

トマトも、シチリアのように凝縮させず、ハーブと合わせるためにフレッシュ感を残した仕上げにします。

らーめんでいうと、シチリアはこってり、プロヴァンスはあっさり。

これが味の構成をデザインするということです。

 

独自色を打ち出す

さて、当店ならではの独自色を打ち出すにはどうするか?

これはコースの中の一品として提供するのか、スペシャリテとして提供するのかによっても変わります。

明確な答えはまだ出せていません。

ただ、シンプルな料理ですから、あまり足し算はせず、魚そのものの「旨み」を最大限、引き出すこと。

そのための、トマトであり、副材料として考えようと思います。

最も差別化できるのは、何を加えるかよりも、素材をどれだけ熟知し、その旨みを引き出すために、どれだけ考えられたか

これに尽きるかなと。

 

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HICO
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ほんの小さな感動が、誰かの人生をちょっと変える。そんな食体験を通して人類に貢献することが僕の使命です。目標は「100年レストラン事業」。お金も才能も人脈もありませんが、実現させるために日々、愚直に考えていることを綴ってます。
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