理想のしめ鯖を作るために、まずは理論値で最適解を求める為、研究を始めました。

先だって、なぜ酢に漬ける前に塩をするのか?その根拠を書きました。
それが分かっていれば、塩をする目的がわかります。

でも、その適正量、適正時間を判断するには理論だけでは難しい。
魚は季節により、産地により、個体差により、脂のりも違えば、鮮度も違うのです。
ただし、目安は作ることができる。
塩の量と経過時間
非常に参考になるデータが既にあります。
下記は、『酢漬け魚肉の調理』(下村道子氏)の論文を参考に魚肉中の塩分濃度を測ったものです。
■食塩量と時間経過ごとに計った魚肉中の食塩濃度
食塩量(魚肉重量比) | 2時間後 | 6時間後 | 12時間後 | 20時間後 |
3% | 1.62 | 2.39 | 2.89 | 2.77 |
5% | 2.13 | 3 | 3.71 | 3.6 |
10% | 2.78 | 5.34 | 7 | 7.22 |
15% | 3 | 5.72 | 8.92 | 9.58 |
しめ鯖において好ましい食塩濃度は、3~4%でしょう。
どのような用途で食べるのか、どう仕上げるのか、その目的によりベストな食塩量と時間は変わりますが、このデータで分かることは、短時間で塩じめしたいときは、食塩量を多くし、じっくり熟成させながら塩じめする際には、食塩量を少なくするのが良い、ということ。
料理人の目的に沿った判断
ということは、目の前のサバを前にして、上記のデータを参考に判断しなくてはいけません。
もし、そのサバが鮮度抜群で、ゆっくり熟成させながら塩を浸透させていきたいなら、食塩量は重量の5%くらいにして12時間かけるのが良いかもしれません。
しかし、やや鮮度が落ちたサバなら、食塩量を多くして短時間で浸透させ、早々と酢に漬ける方がベターです。
また、脂ののったサバは、食塩が浸透するのを脂が拒むため、浸透時間は長くなるはずだし、刺身感覚に仕上げるのか、棒寿司にするのか等、目的によってまったく変わります。
そんなことをもろもろ考えながら、目の前のサバの食塩量と時間を判断するのが、料理人の仕事となります。
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!