料理とワインについて

【シメサバ徹底研究】素材の条件

しめ鯖にする場合、さばの鮮度は言うまでもなく重要です。

多少鮮度が落ちても〆サバにするなら大丈夫という料理人もいますが、保管次第では危険です。

サバに含まれるうま味成分ヒスチジンは、死後、分解され毒性のあるヒスタミンとなるからです。

ヒスタミンを合成するのはモルガン菌という細菌ですが、これは25度前後でもっとも増殖し、0度付近では増殖しません

つまり、氷水に入れてキンキンに冷やしたものでないと「あたる」危険がある。

さらにしめ鯖にする場合、塩をして鯖の身肉タンパク質を固める必要があります。

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鯖の鮮度による身質の変化

鯖は、身質の柔らかい魚です。

その理由の一つは鮮度が落ちやすいこと。

鮮度が落ちやすい、とは具体的にどういうことかというと、たんぱく質分解酵素が多く含まれているので、腐るまでの工程が早くなるのです。

さらに、生物の筋肉はATP(アデノシン三リン酸)が分解されることで発生するエネルギーを使って動きますが、死ぬとそれまで呼吸によって補っていたエネルギーの循環システムが崩れ、ATPは分解され続けます。

そして、ATPの枯渇により、筋源繊維であるミオシンとアクチンが強く結合して、アクトミオシンを生成し、筋肉は固くなる。

これが死後硬直です。

その後、分解はさらに進み、最近によってどんどん分解され、腐敗へと向かい、身質は柔らかくなります。

身割れを防ぐ方法

サバを3枚に卸したとき、身割れする場合があります。

これには、サバ自体の鮮度や保管方法など素材による問題と、もうひとつ。

包丁技術による問題があります。

氷塩氷による保管

素材自体の問題については、上記の通り、鮮度が悪くなるほど身が柔らかくなるので身割れします。

ただし、ATP分解が進み、死後硬直が溶けた後でも、氷塩水で保管すると身は固くしまったまま、柔らかくなりません

これは低温により、魚肉が一時的に硬直するからです。

しかしそれも、魚体の小さいサバなら半日が限度。

1kg近いサイズなら1日近く持つかもしれませんが、鮮度が良いに越したことはない。

包丁技術による身割れの原因

実は、よく切れない包丁で捌いた場合や、包丁技術が未熟で魚を押さえつけながら捌いたりすると、たとえ鮮度が良くても身割れします

極端な話ですが、よく切れない包丁だとノコギリのように何度もスライドさせながら卸さないと切れません。

そうすると身は不必要に上下にゆすられたり、切れないがために押さえつける力も強くなり、余計な圧迫を与え、身割れします。

切り口は粗く、表面はボロボロです。

サバに限りませんが、魚はよく切れる包丁で、出来る限り少ないストロークで卸すのが鉄則。

包丁次第で、舌触りまで変わります。

良いサバの条件

しめ鯖の味を左右するのは、やはり、素材です。

素材が良くなければ、美味しいしめ鯖は作れない

当たり前のことですが、この良い素材を仕入れるのがとっても難しい。

鮮度が良いのはもちろん、ある程度の脂のりも欠かせません。

産地も重要です。

温かい海で水揚げされた鯖は、身質が柔らかく、寒い海で水揚げされた鯖は、締まっています。

原魚で600g以上になると、脂のりは良くなりますが、それでも個体差はあります。

感動させる為の最低条件

料理人にとって、どのレベルのしめ鯖を作るのか。

刺身にするか、棒寿司にするかでも変わりますが、人を感動させるレベルのしめ鯖を作るなら、少なくとも下記の条件は満たさないといけないでしょう。

  • 水揚げ後、半日以内のサバであること。
  • 氷塩水で保管されたものであること。
  • 原魚サイズが600g以上あること。

上記を満たしたうえで、その個体の鮮度と脂のりにより、塩の量と時間、酢漬けの時間を調整します。

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