そもそも何のために最高の料理を提供するのか
感動するほど旨い刺身を提供するには、について、考えていたら、思いのほか、長くなりました。これまで、魚の旨みを引き出すには、どうするのが理想的なのか、科学的な根拠を元に、魚の〆方から仕入れ、提供の仕方を考えてきました。
前回、結論は出しています。
もっとも旨みが乗る瞬間に合わせて、水分を抜き食感を高めること。
それができれば、感動するほど旨い刺身を提供することが可能です。なぜ感動するのかといえば、そこまで環境を整え、科学的に計算して、提供できるスキルを持ったお店は、極めて稀だからです。
ただ、現実化するにはもう少し考えないといけないことがあります。
タイミングをどう合わせる?
理想的なタイミングをぴったり見はからうのは現実的に困難なのでは?
皆さんもそう思われたと思います。
こだわりの強いお店が、完全予約制で、入店時間まで決まっているのは、素材のもっとも美味しくなる瞬間に食べてほしいからでしょう。そうすることで、タイミングをはかることが出来る。
魚に限らず、16時間火入れして提供する肉料理などもあります。理想をとことん追求すれば、お客様の入店時間から、召し上がるスピードなど、緻密に計算してタイミングを合わせていかなければならないのは頷けます。
でも、それではレストランとして、不十分だと思っていました。
何のための最高の料理か?
もし、渋滞で10分遅れたら?食べるペースが非常に遅い方がいらっしゃったら?そもそも、仕入れた段階で、思いのほか鮮度が良すぎて、お客様に提供するにはまだ早すぎるとしたら?・・・
想定外になるケースはいくらでも考えられます。
最高の料理を提供するためとはいえ、その狭い枠にお客様を当てはめすぎて、お店側が制限しすぎるのは、ちょっと、本質から外れるような気がします。私がお客様の立場なら、窮屈だな~と思うのです。
一生、記憶に残る美味しい記憶を創って差し上げたいと思っている立場からすると、同じ予約制というスタイルであっても、お越し頂いてからは、そんな制限を課さず、心の底から楽しんでもらいたい。料理うんぬんより、HICOで過ごした時間を記憶に刻み込むことの方が、大事です。
しかし、だからといって、料理に妥協はしない。ここがそう簡単にはいかないところです。
解決策として、いくつか案があるのですが、それはまた明日、じっくり考えたいと思います。
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!