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魚を究める

感動するほど旨い刺身を提供するには?③

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仕入れは人と人との信頼関係が大事になる

感動するほど旨い刺身を提供するには?を引き続き、考えます。

実際に、お客様にご提供して、感動してもらうには、どうすればいいのか、考えていくのですが、その前に大事な前提があります。仕入れです。

理想的な条件で入れた魚の必要な情報

ATPを無駄に消失させることなく、理想的に〆られた魚を入れてきたとします。

手元に届いた時はまだ、死後硬直前。活け〆し、神経抜き、血抜き、と処理された魚は、死後硬直に至るまでの時間が、水揚げ後、何もせずにいた場合に比べ、倍以上になります。

また、死後硬直に至るまでの時間は、魚種によって違い、同じ魚種でも、大きなサイズ、小さなサイズでは、変わってきます。原則としては、大きいサイズの方が、もともとのATP含有量が多い為、時間がかかります。死後硬直は、ATPの枯渇とともに始まるからです。

ここで必要な情報は、以下3つ。

1.魚種は何か?

2.大きさはどのくらいか?

3.何時ごろ〆られたのか?

仕入れる前にこれを知らず、カンと予測でいくと、お客様へ提供するときに失敗します。最も旨いタイミングを逃すからです。

流通について

いまの時代、魚を〆る技術も進歩し、流通網も発達しているので、現実的に、そうした魚を仕入れてくるのは、可能になっています。ただ、間違った技術や知識が蔓延しているのも確かで、活け〆として売られている魚の中には、実際には活け〆ではないものも多く混じっています。

私は魚が流通する源流で仕事をしていましたから、漁師さんが水揚げしてきたものが仲買によってセリ落とされ、そこから、中央市場や、直に飲食店へ運ばれるのを目にしてきました。ご存知の方も多いと思いますが、築地など中央市場へ送られる魚は、たとえば北海道からなら、水揚げされてから2日後の魚が並ぶことがほとんどです。早くても1日後のものでしょう。

それには流通経路に理由がありまして、北海道を例に言うと、地方で水揚げされた魚は、各地の浜でセリ落とされ、函館中央市場や札幌中央市場へと送られます。それで1日。

函館や札幌の中央市場から築地へ送られるのは、それからなので2日、というわけです。

付加価値をつける

もちろん、地方で水揚げされたばかりのものを直接発送する仲買や、メーカーも少ないながらいますので、今は、翌日の魚が並ぶことも多くなりました。魚自体の水揚げも年々、減ってきている為、水揚げ量ではなく、質で稼ごうと、付加価値をつけて販売する漁師さんや仲買も出てきています。

神経〆もその過程で発展してきた技術です。それだけ手をかけて、良い品質のものになると高値がつきますから、水揚げが少ない分、そうして高値をつけないと商売が成り立たなくなったのです。

信頼関係なしに仕入れは出来ない

ただ、そんな中、悪質な業者もいます。

水揚げ後、放置して死んだ魚は野締め、といわれます。野締めの魚は、活け〆の技術を駆使したところで、どうにもなりません。心臓が止まっていれば、血抜きもできない。それなのに、あたかも延髄を切って〆たかのように、刃を入れて、市場に流す人がいます。活け〆にすれば2割は高く売れるからです。

これは明らかな詐欺です。分かる人が見れば、分かるのですが、活け〆とは何か、活け〆することでどうなるのか、ということを知らないと、見誤ります。それがまかり通ってしまうのは、飲食店に勤める料理長クラスの人も、市場関係者も、知らない人が多いからです。

少し脱線しましたが、何が言いたいかと言うと、信頼できる業者がいないと、理想的な仕入れは不可能です。長い目で見れば、上の悪質な業者はいずれ、淘汰されると思いますが、本当に理想的な〆方と処理をしている業者もまた、極めて少ないのが現実です。

私の場合、その点、恵まれてます。流通の源流にいたので、ネットワークがある。仕入れをどうするか。というのは、実際にレストランを運営するにあたって、非常に大事だと思うのです。信頼関係なしに仕入れはできません。

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