100年続くレストランの理念やコンセプト~グランピングレストラン~(2018年)

これまで、「100年続くレストラン」として、核となる理念やコンセプトを繰り返し考えてきました。

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今年は、さらに進化させて、より具体的にしていきたいと思います。

目次

グランピングレストランという新しいジャンル

コンセプト案として、有力なのが「グランピングレストラン」。資金さえあれば、宿泊可能なロッジを作り、前夜はレストランで料理を。翌日は高尾山を楽しんでもらえるような流れを作りたいと思っています。

というのは、高尾山周辺に、宿泊施設は少ないんですね。

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インバウンド需要も狙える、アウトドア色の強い貸ロッジが良いなと考えてるのです。

建物はログハウス

ロッジは、シンプルなログハウスで、6人がゆったりできればいい。設備はごくシンプルにします。空間は提供しますが、サービスは基本、しません。レストランで徹底する。それなら、少数でも運営していけます。

これは法的にいうと、簡易宿所営業スタイル。

宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

のことです。

朝食をだすか?

朝食をだすかどうかは、悩むところです。お客さんからしたら、あった方が良い。周辺で、朝食をとれそうなところはないからです。しかし、朝食をつけるとすると、労働時間がかなり長くなります。

仕込みも大変。ならば、お土産として、渡すのはどうでしょう?

レストランで食事を終えた後、明日の朝食や、登山でおなかすいた時、食べてもらえようなものを渡す。お土産については日持ちがするもので、なおかつ気の利いたもの。ここでしか食べれないものがいいですね!

なぜ、ログハウス調の建物にするのか?

100年持続するレストランがコンセプトですから、建物も、長持ちするものを用意したいと考えていました。資金の問題もあるので、すべて理想通りにはいかないでしょうが、まずは、理想を組み立てていきたいと思います。

その為に、出来る準備をしたらいい。そこで、持続性のある建物は何か、調べてたときに、ぴったりなのがログハウスだったんです。外観、デザイン、機能性などトータルで考えて、丸太を組み合わせた構造は、コンセプトにぴったり。

日本の住宅は30年が寿命?

ご存知ですか?

日本の木造住宅の寿命は約30年だそうです。諸外国は、たとえばドイツが79年、アメリカは103年。イギリスは141年というデータがあります。ドイツは79年とありましが、戦争がなければ、もっと伸びたであろうといわれます。

日本の住宅寿命が短いのは高温多湿の気候風土のため、外壁を痛めやすいのもありますが、主な原因は価値観。自分の代のうちだけ保つ住宅で充分だという考えの人が多かったようです。ヨーロッパでは、子供や孫に住み継いでいくという発想で、100年、200年でも持つ家を最初から作る発想でした。

ログハウスなら、100年の年月に耐えられます。

建物の作りは、ヨーロッパに学ぶのが早そうです。特に北欧は、いかに家の中で快適に暮らすかということを、人生レベルで大切にしています。デザインも素敵ですよね。

世界最古の木造建築”正倉院”もログハウス

奈良県東大寺の宝物庫である正倉院は、校倉(あぜくら)造りのログハウスだそうです。

正倉院は、756年6月21日、光明皇太后は聖武太上天皇の七七忌に際して、天皇遺愛の品約650点、及び60種の薬物を東大寺の大仏に奉献したのが始まり。 私は、現存する正倉院を見たことがありますが、それはもう、立派なもんです。とても1260年も前の建物とは思えない。

ログハウスが長持ちする理由

ログハウスは、木材だけで作りますが、木材は新品のときに一番強度がある鉄などと違い、時間経過により強度が増すという頼もしい素材です。

また、原料に使用される無垢材は、呼吸をしているようです。外環境の湿度が高くなると水分を吸収し、乾燥すると水分を吐き出します。だから、無垢材で作られた囲まれたログハウスは、常に快適な湿度にキープされるので、結露やカビの発生も抑えられ、風邪も引きにくいらしい。素晴らしいですね。

地震にも強い

そして、地震にとても強い。

正倉院が、1260年を経てもこうして現存しているにはログハウス特有の耐震構造があったようです。これだけ災害の多い日本で、こうした1260年も前の建物が現存しているなんて、すごすぎます。

高級レストラン×アウトドア

グランピングは、「グラマラス」×「キャンピング」を掛け合わせた言葉で、もともとの概念はイギリスが発症です。私が作ろうとしていたレストランは、高級レストラン×アウトドアで、厳密にはグランピング(ホテルのように設備の整ったキャンプ)と違い、食事がメインで、一生記憶に残る独自サービス、演出が売りのレストランでした。

東京にあって、登山客世界一という高尾山の麓に立てようと考えていました。

それがレストラン構想のスタートでしたが、いまは、明確に宿泊も可能な施設にした方が良いかなと、思っています。理由は、高尾山周辺に、ラグジュアリーホテルや、富裕層がくつろげるような施設がないから。

ないということは、需要がないということ、なのかもしれません。でも、調べれば調べるほど、あったらいいな、と思えてきます。高尾山の麓は景観も良く、人もひっきりなしに訪れてくれます。100年持続する為の環境は揃っている。

ホテルサービスはしない

でも、至れり尽くせりのサービスができるかというと、不可能です。

理由は、ホテル経験もなければ、コストもかかり、人手もいります。私は極力、コンパクトに、少人数でも能力の高い人で運用していける組織づくりをしたい。だから、完全なホテル業でなく、設備は整えておき、メインはあくまでもレストランに使用としたいなと思っているのです。そこで、グランピングです。

グランピングは、ホテル並みに設備の整ったキャンプ。

食事は、一生忘れない美味しい記憶をお作りさしあげて、あとは施設を貸し出して、好きにやってもらいます。あくまでレストランがメイン。泊まりは、オプションとして用意しますが、結構、需要があると思っています。

イメージ動画

こうしたコンセプトで、面白い動画があるので、ご紹介します。

たとえば、一面の雪景色に首をすくめるフクロウ。ザクッザクッと、雪を踏みしめ、スコップで地面を掘り起こすと、ショウガ・・・・??

そこから料理が始まります。

海外の料理動画なのですが、普通の料理動画ではありません。肉を焼くのも、魚を焼くのも、火を起こすところから始まる。キッチンは屋内の台所でもなく、レストランの厨房でもない。雪原や森の中、あるいは川のほとり。または、誰も足を踏み入れたことのないような山の中です。

料理は、なんてことのない料理です。ただ肉を焼いて、ソースを工夫しただけのものや、クックパッドを見れば出てきそうなレシピ。それでも、ハッとするほど旨そうです。

アルマザンキッチン「カルボナーラ」

食べる=生きる喜び

アルマザンキッチンの料理は、非常に原始的で、味付けも素朴なのに、気取って、あれこれ細工したモダンな料理より、新しい感じがするのです。食べる、ということの意味が重く、深く感じられます。生命感、というのか、生きる喜びに満ち溢れています。美味しさとは、栄養を補給したときの喜びだと、以前書きましたが、それが心身両面でエモーショナルに表現されている気がします。

当社が本質的に目指しているのは、まさにこうしたこと。下の動画は、森の中でボロネーゼ(ミートソース)を料理してます。

アルマザンキッチン「ボロネーゼ」

パスタは、手打ち。小麦粉と卵を混ぜ合わせるところから始めていて、麺を伸ばすパスタマシンも使わず、手で伸ばして、うどんのように切る。もたっとした、不揃いのパスタですが、これがまた旨そうなのです。音楽は、時折聞こえる鳥の声。川のせせらぎ。葉の擦れ合う音。虫の音。そして玉ねぎを刻む音や、肉が芳ばしく焼けていく音。

レストランで取り入れたいのは、こういう感覚でした。

たとえば、これを、ライブでやったらどうでしょう?レストランは、屋内だけでなく、外にもスペースを作り、溶岩焼をできるようにする設計です。テントを張り、キャンプできるくらいの広さを作ります。お客様には、たき火を囲んで、心地の良いデッキチェアに座って頂き、側で私がパスタをこねるところから料理します。時間を持て余さないよう、作ってる作業をライブで見てもらいながら、その間、前菜を、楽しんでもらいます。

これは、期間限定の、ランチスペシャルコース。夜だけの営業で考えてますが、こうしたイベント的なランチサービスを提供しても良いかもしれない。もし、子供さんがいて、自分で作りたいなんて要望があれば、お応えできます。

メインはもちろん、動画にある様な野性的なミートソースパスタ。あらゆることが自動化して、野生を削ぎ取られるようになっている時代に、面白いかもしれません。

西東京近郊のグランピング施設をリサーチ

そこで、グランピング施設といえる競合をリストアップしてみました。

東京・あきるの市のグランピング・オーベルジュ「WOODLAND BOTHY」

東京・あきるの市に素敵な施設があります。グランピング・オーベルジュ「WOODLAND BOTHY」さん。

構想しているグランピングレストランは、こちらの施設のコンセプトに少し、近いんです。

グランピング・オーベルジュ

オーベルジュとは、宿泊施設を備えたレストランのこと。もとはフランス語で、直訳すると「郷土料理を提供するレストラン付きのホテル」を意味するそうです。

グランピングは、「グラマラス(Glamorous)」と「キャンピング(Camping)」を掛け合わせた概念。高級ホテル並みの設備やサービスと、アウトドア的な体験を楽しむ比較的新しい概念です。欧米では2011年ころから、日本では2014年ころから、発展し始めました。

グランピング・オーベルジュも、グランピング・レストランも、食事に焦点をおいてる点で共通しています。

WOODLAND BOTHYさんについて

WOODLAND BOTHYさんは、東京にありながら、山奥に位置します。山道を20~30分、登ったところでようやくたどり着けるという。完全予約制で、1日1組限定。料理は、その1組の為だけにプロが作ります。

ランチは7000円。ディナーは8500円。宿泊は1人35000円。とても安いですよね。

料理は、地元食材を使った肉と野菜のグリル料理。内容は、前菜盛り合わせ、1品料理、グリル料理、 スープ、 手打ち蕎麦、デザート。手打ちそばというのもユニークですね。

オープンは2017年6月。いずれ、訪れていたいと思います。

グランピング・オーベルジュであることのメリット

これから日本は、少子超高齢化社会です。2025年には、3人に1人が65才以上。4人に1人は75才以上になります。その上、人口は縮小します。当たり前のことですが、労働人口も消費活動も減ります。

では、どうするか?

単価を上げて、事業を縮小し、少人数で運営できる店舗である方が優位です。大規模で、たくさんの人を雇って、提供するサービスは、よほど人口需要の高い地域でないとなりたたないでしょう。

グランピング・オーベルジュは、これからの時代に即したスタイルだと思います。

東京・あきる野市のグランピング施設「秋川渓谷 お泊りBBQ GLAMPING SITE」

秋川渓谷。むかし、家族でキャンプに行ったことがあります。そばの川で、山女魚が釣れました。まだ小学生のころです。大自然に囲まれて、清冽な空気の中を跳ねる魚のきらめきを今でも覚えてます。

この秋川渓谷に本格的なグランピング施設があります。

「秋川渓谷 お泊りBBQ GLAMPING SITE」さんです。

先だって紹介した、東京・あきるの市のグランピング・オーベルジュ「WOODLAND BOTHY」といい、あきる野市は、その恵まれた自然を活用して、グランピング施設が出来ています。

東京都心からわずか1時間で、都会では経験しえない、空気を感じれます。

GLAMPING SITEの施設

グランピングは、glamorous(魅惑的な)camping(キャンピング)をかけ合わせたリッチでラグジュアリーなキャンピングの総称ですが、その振れ幅は広い。「秋川渓谷 お泊りBBQ」はGLAMPING SITEというだけあって、「WOODLAND BOTHY」よりもキャンピング感が強いです。

食事も、BBQがメインですね。グランピング・オーベルジュ「WOODLAND BOTHY」は実際にシェフが料理してくれますが、こちらはBBQ。でも、寝具やアメニティも充実してるようですので、手ぶらで気軽にアウトドア気分を満喫するには、こちらも面白いと思います。

うれしい露天風呂つき!

グランピングサイトのうち、「Glamping A」には6人が一度に入れるほどのサイズの露天ジェットバスを完備しているようです。これこそ、ラグジュアリーなキャンプ。

当店も料理がメインのグランピング・レストランを考えてますが、露天風呂は欲しいな、と思っているのです。もし宿泊するなら、お風呂はかかせません。高尾山には、高尾山温泉というのがあって、そこを利用してもいいのですがわざわざ移動していただくのも、億劫です。

アミューズメント

もうひとつ、秋川渓谷の魅力は、渓流釣りですよね。リッチなBBQやキャンピングに加え、アミューズメント的な要素があるとファミリーでも楽しめます。

それも、魅力です。

日常と違う時間を過ごすこと

グランピングにしても、グランピング・オーベルジュにしても、グランピング・レストランにしても、お客様が体験するのは非日常的空間。

忙しい日々で忘れてしまいがちな大事なこと。時間の流れ方も違う自然の中で、思考を休めることは、そうしたことに気付かせてくれるひと時でもあります。だから、私たちは日常を感じさせてはいけません。

ここは、日常からの隠れ家であってほしい。

大人のかくれんぼ空間。

それが、私の求めているグランピング・レストランです。

東京都・奥多摩のグランピング施設「Circus Outdoor Tokyo」

ホームページをみているだけでわくわくするグランピング施設が東京・奥多摩にあります。コンセプトは、《東京にある秘密の森に、世界一美しいアウトドアフィールドを》。

秘密の森っていうのがイイですね。運営は、Circus Outdoorという組織で、

日々快適なキャンプとは何か、自然と共存する美しさとは何かを追求しながらテストキャンプを繰り返しながら、用地の確保やフィールドのプランニングを行っている組織です。

とのこと。設立は1年前の2018年3月です。

http://circusoutdoor.com/

都会の大自然

奥多摩は、都心からは約2時間。これほどの大自然が東京にあることに驚かされます。Circus Outdoor Tokyoは奥多摩湖に近いところにある。

5つの異なるコンセプトのテント施設があり、それぞれ、料理内容も違うという。

5つのコンセプト

お客さんが宿泊する施設は、サーカス団というテーマの中で、それぞれ違うストーリーで設計されているます。

Jumpin’ Jackalope(ジャンピン ジャッカロープ)

サーカスクルーの控え室がコンセプトです。部屋の中にはショーで使う小道具が。宿泊費は1人35000円。

Sheep Ship(シープシップ)

サーカス団の中で、衣装チームが使っていた部屋がコンセプト。仮面やクッション、カーテンなどが。宿泊費は、55000円。

Blueberry Unicorn(ブルーベリー ユニコーン)

サーカスの人気者、上級クルーの控え室がコンセプト。家具も内装も上質で、贅沢な時間を演出。宿泊費60000円。

Pink Elephant(ピンク エレファント)

サーカス団の団長控え室がコンセプト。その団長は、象好きだったという話です。宿泊費90000円。

Royal Griffin(ロイヤル グリフィン)

サーカスを視察に来た重要人物のために用意された、迎賓用のお部屋というのがコンセプト。最高級の家具でもてなしています。宿泊費150000円。

ユニークなサービス

面白いな、と思ったのは、都会の大自然という立地を活かして、ユニークなサービスを用意していること。たとえば、デジタルデトックス。チェックイン時に携帯やPCなど、預かってくれるサービスです。

それだけじゃありません。

形態などのデジタルデバイスを手放すと同時に渡してくれるのは、便箋と万年筆。手紙をつづってロウで封印し、宛名を書きフィールド内の模擬ポストに投函すると、きちんと郵送してくれるんだそうです。

素晴らしいですね。

効率の良い空間活用

非常に効率の良いビジネスも、展開しています。この施設を利用して、たとえば、立食パーティーや、結婚式などで貸切ることもできるわけです。金額は1時間あたり60000~90000円。

ビジネスとしても面白いですね。開いている時間と、空間を活用して、実際にスタッフは管理する人1人だけ。非常に効率が良いビジネスです。

狙い

「Circus Outdoor Tokyo」さんは、富裕層がターゲットで、インバウンド市場にも狙いを定めているような感じです。予想ですが。

アウトドアの文化は、日本よりも断然、欧米の方が根強い。歴史も深い。奥多摩は、海外の富裕層が気軽に楽しめるスポットになるでしょう。

高尾と奥多摩

高尾は、奥多摩に比べると、もう少し都心よりで、大衆性が強い感じです。実は、高尾山の麓で開業を計画しているグランピングレストランは、高級志向の予約制レストランでした。あくまでレストランがメインで、宿泊は付属として考えています。

だからグランピングレストラン。そうしたコンセプトでされているところは今のところ、ありません。

「Circus Outdoor Tokyo」さんは、アウトドア体験に重きを置いています。但し、それは奥多摩と高尾の地域性の違いであって、ビジネス上、やろうとしていることは似ているなと感じました。

番外:ランピング施設「星のや富士」

西東京近郊ではないのですが、グランピング施設として欠かせない存在があります。それが「星のや富士」さん。

写真を見たとき「あ、やられた・・・」と思った空間づくりがあります。圧倒的な設備と知名度を誇る星野グループのグランピング施設。

レストランとなる建物からガラス超しに見える景色。たき火の揺らめきと、木々が織りなす誰も逆らえない自然のデザイン。音楽は、川のせせらぎと、共に過ごす人との話し声だけ。

こんな空間を作りたいと思っていました。それに近いのが、この写真でした。今にも、この世界に吸い込まれそうなあこがれがある。

粋な文章

ホームページにある文章も味わいがあります。

その斜面を歩きながら、視線は足元を見つめる。

そこには土があり、草が生え、樹木が伸びている。

深く息を吐きながら、草木に視線を這わせて天を見上げる。

葉の形状がそれぞれ違い、針広混交林であることに気づく。

赤松の枝と紅葉の葉に遮られ、影が顔に落ちる。

太陽光の角度を意識すると、1日の見え方が変わった。

自然が魅せるあらゆる些細な瞬間に、目を見開いていく。

星のや富士ホームページより抜粋

まるで、小説の一節。

森を食べる

ここでは、一年中、ジビエ料理を味わえる。鹿もイノシシも、季節により味が違うそうです。

考えてみれば当然。魚だって、春の鯛と、秋の鯛は違います。本来、自然とはそういうもので、誰も逆らえない法則なんですね。

だから『星のや富士』の語り手は、こう言う。

ジビエは、森を食べているに等しい。

さすが。世界観の作り方がすごい。あまり私が語らずに、こちらをご覧になっていただくのがよさそうです。

星のや富士【公式】 | HOSHINOYA F...
星のや富士【公式】 | HOSHINOYA Fuji 富士山麓に佇む日本初のグランピングリゾート。東京から2時間、河口湖畔で自然を堪能するキャンプをグラマラスに。客室はテラスリビングを備えたキャビンスタイル。

海から遠い高尾で、新鮮な海鮮が食べれる唯一のグランピングレストラン

といっても、あまり需要はないかもしれませんね(笑)なぜなら、高尾山に観光にくる人は、高尾山名物を食べたいでしょう。

たとえば蕎麦とか、山菜とか、団子とか、せんべいとか。でももし仮に「高尾で新鮮で美味しい海鮮料理を食べたい」という需要があるとすれば?

高尾周辺で暮らす人にその可能性がありそうです。

高尾周辺で暮らす人に向けて

グランピングレストラン、というまだ確立されていないスタイルを年間260万人(1日約7,200人)という高尾山を訪れる観光客と、1,467世帯2,907人(2017年)という高尾町に暮らす人に向けて準備するのか。

はたまた、もっと広範囲に562,036人(2018年)という八王子市に暮らす人に向けて準備するのか。

極上海鮮、魚料理を提供する意味

ただ、魚料理は、当店の強みのひとつです。独自の仕入れルートも人脈もあります。それを活用しないのはもったいない。

そしておそらく、需要があるかは別にして、新鮮な海産物や魚料理を食べれるお店は多くない。海から離れた高尾で、美味しい魚貝が食べれるとしたら、魚料理が大好きな私が高尾住民なら、とても嬉しい。

これは、構想のひとつですが、書きとどめておきたいと思います。

海外の登山客(インバウンド需要)を見越して

高尾山は、世界一登山客の多い山です。年間300万人が訪れるという。ミシュランガイドにも富士山と並んで三ツ星を獲得しています。ただ、登山客がレストランに立ち寄る需要は少ないだろうと予測しています。多くの人は、名物のそばや、山頂でお弁当を目的に来る。でもそれは、昼間の話。

夜、ゆっくりと食事をできるレストランは少なく、宿泊施設といえば、ラブホテルしかありません。そこへ、高尾山からは多少、離れていても良い。宿泊可能な、グランピングレストランのようなところがあったら?インバウンド需要も呼び込めると思うのです。

確定した未来と可能性

日本は超がつく少子高齢社会、20年後の人口は、今より2000万人減っている。これは、確定した未来です。

その中で、生き残るには?私は最近、戦国時代から学びを深めています。各地の大名がそれぞれの思惑をもって戦い、生きた時代。未来を予測し、変化に対応できたものは残り、そうでないものは淘汰された。

東京・高尾は、都心からわずか1時間で来れる自然を感じれる場所です。多くの人が共感してくれると思いますが、緑豊かな場所に来ると心は落ち着きます。時に厳しい表情を見せつける自然の猛威も、景観の美しさの前では受け入れざるを得ないほど。高尾山は世界中から訪れる人気スポットですから、少子高齢社会であっても、呼び込みやすいと考えています。

耳を澄ませば川のせせらぎが聞こえる自然の中で、ログハウスを建て、宿泊も可能なグランピングレストランを開業する。いま、その実現の為に、頑張ります。

20年後の人口を見据えて

人口減少地図(日本経済新聞社)というのがあります。

人口減少地図:日本経済新聞

これは、民間団体の日本創成会議が、2040年時点の20~39歳の若年女性人口を試算し、10年時点と比べ半分以下になる自治体を「消滅可能性がある」としたデータを、日本経済新聞社がマップ化したものです。

さらにありがたいことに「各自治体ごとの小学校数」「各自治体ごとの医療機関数」のデータもあります。

自宅にいながら学べる環境はインターネットによって出来てきましたが、小学校で学ぶことは学習というより、友だちと遊び、先生に怒られながら、人生でとても大事な、事の善悪や、人とのかかわり、集団での個のあり方を体感していくことにあります。

それは、デジタルが発達すればするほど、直の体験が重要になるのはもはや自然の摂理です。光と影のように一対で、どちらかではなく、どちらも必要なのです。そして、医療機関は、人が健康的に生きる上でなくてはならぬ機関です。人が暮らす場所を選ぶとき、それは必ず考慮されるはず。

100年後の推移はわかりませんが、これはとても参考になります。

東京、高尾は、八王子市に属します。高尾山はいま、世界一登山客の多い山。都心からも1時間でこれる自然味あふれる地域です。気になる2040年、20~39歳の人口増減率は-28.2%。この数字は、決して良いわけではありません。が、悪くもありません。

このデータは2014年なので、2014年から2040になる頃には、日本の人口は約20%減っています。ですから、平均より、やや減ってしまうということです。都心の平均は-15%くらい。そして、地方の過疎地は-80%以上です。都心への一極集中は避けられません。しかしだからこそ、都心から近く、気軽に訪れられる高尾という立地は持続性があります。

エネルギー循環型施設

レストランのキッチンは、機能的で、エネルギーを無駄にしない作りができたら良いなと思っています。

たとえば、水。水は、蛇口をひねれば当たり前に出てくるイメージがありますが、いずれ有料になるとも言われています。そうでなくても、食を仕事にする以上、資源を大事にする使命は、背負っていかないといけないと思います。

お湯を沸かすと水蒸気があがります。その水分は、大気中に消えてしまう。これを換気扇で、外に出すのではなく、洗い物の水に使えるようドーム型の屋根をつくり水がたまるようにするのはどうでしょうか。

また、石窯を導入する予定ですが、石窯の熱エネルギーは、冬場なら暖房として、夏場は電気に変換できる変換器を導入すれば、冷房として使えるかもしれません。高尾は、緑あふれる自然ですから、風、川、太陽等、自然の力も借りることも出来そうです。

機能的な厨房

キッチンは、考えうる限り機能的にします。冷蔵庫、シンク、作業代はすべて移動式。仕込み次第で、レイアウトが変えれるように。季節によって、冷凍庫と冷蔵庫を入れ替えたりできるように考えたいですね。

床はとにかく掃除が楽なように、多少の傾斜をつけるかもしれません。ボタンを押すと水が流れて、勝手に床掃除してくれたり。包丁置き場は、こだわりたいです。用途に応じた、長さ、種類の包丁が置けるように、広く取ります。お客様からは見えるように。デザインを凝らして。機能とデザインを兼ね備えた設計にします。

簡易宿所営業の必要条件

旅館業法には次の4つの営業形態が定められているようです。

  1. ホテル営業
  2. 旅館営業
  3. 簡易宿所営業
  4. 下宿営業

このうち「簡易宿所営業」とは宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの(旅館業法第2条第4項)をいいます。

二段ベッドなどを置いて多人数で宿泊場所を共用する施設です。例しては民宿、ペンション、山小屋、カプセルホテル、ゲストハウス等が挙げられます。私が可能性として考えているものも、「簡易宿所営業」となりそうです。

条件

  • 旅館業法(又はその処分)に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
  • 旅館業法の許可を取り消され、取り消しの日から起算して3年を経過していない者

設置場所

周囲約100m以内の区域に

  1. 学校(大学は含まれません)
  2. 児童福祉施設
  3. 公民館
  4. 図書館
  5. 博物館
  6. 青少年育成施設

があって、設置するとその施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがある場合は許可されません。(旅館業法第3条第3項)

必要な設備

施設の構造設備の基準は旅館業法施行令で定められています。(旅館業法施行令第1条第3項)

  1. 客室の延床面積は、33平方メートル以上(約18畳)
  2. 2段ベッド等置く場合には、上段と下段の間隔はおおむね1メートル以上
  3. 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
  4. 泊まる人が入れる十分な大きさのお風呂(近くに銭湯があれば不要)
  5. 十分な数の洗面台
  6. 適当な数のトイレ
  7. その他都道府県が条例で定めるもの
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