すべてはお客様の為。
サービスを磨き、料理を研究し、努力している飲食店がほとんどでしょう。
お客様なくして、お店は成り立ちません。
ですが、お客様の為、という顧客第一主義も、一歩間違うと自分の首を絞める結果になります。
実際「お客様の為!」と頑張ってきた飲食店が潰れた例は数え切れません。
一方、お客様を大切にしながらも、第一主義と掲げていない飲食店は不思議と残っている気がします。
なぜだと思いますか?
行き過ぎたサービス
飲食店に限りません。
今や24時間、コンビニが開いてるのは当たり前。
宅急便が、希望時間に届けてくれるサービスも当たり前。
その常識が少しずつ変わろうとしています。
働き方や人口縮小社会において、それを持続するには今の延長上に未来はない。
いまのところ、それらは人的サービスだからです。
人が少なければ、残業でカバーもできたでしょう。
でもそれは違法です。
それぞれの分野でサービス合戦をした結果、立ち行かなくなっているのが今。
苦い経験
飲食店でも「お客様の為に」という名目でサービスを強化していくと、必ず無理が生じてきます。
私の勤めていたレストランでもありました。
閉店時間は夜の10時です。
そこへ、10時すぎてからお客さんが来ます。
それもトップクラスの常連様。
当時の私は無下にお断りできず、入店を許してしまいました。
帰られたのは12時過ぎ。
そこから片付け、家に帰ってみれば深夜2時です。
それが毎晩のように続いたらどうでしょうか?
まるで奴隷のようです。
絶対に、続きません。
お客様第一主義にかけている視点
「お客様の為に」とはいえ、経費や自分の時間、体力を削ってまでサービスすることは、結果として、利益率を大幅に下げ、自分のみならずスタッフの健康状態にも影響します。
その熱心さが、業績をかえって悪化させることもあるのです。
上記は極端な例かもしれませんが、そうやって潰れていくお店は実際にあるんです。
では、「お客様第一主義」に欠けている視点は何か?
それは視野の広さと高さ。
そして、ほんとうのサービスとは何か、という哲学的思考の浅さです。
視野の広さと高さ
いまの状況が続いたときに、将来どうなるのか?
それを許したときに、他のお客様や、スタッフにはどういう影響を及ぼすのか?
会社の規定は何のためにあるのか?
そういった思考が欠けているのです。
「お客様第一主義」を掲げるのも、そうしたことを踏まえていれば良いのですが、たとえば学生のアルバイトが入ってきたときに、それをうまく伝えられるかというと難しいところがあるでしょう。
言葉自体の持つ意味がとらえる人によって、その広さ深さが違うので、解釈にも違いが生まれます。
「お客様の為に」と私も部下の指導ではよく言っていましたが、良いように見えて、詳細までその意味を伝えないとかえって危険な言葉です。
哲学的思考
もうひとつ、考えておきたいことは、「お客様とは誰のことをいうのか?」ということです。
あまりにお店に負担をかけるお客様を、お客様と呼べるのか、考えるべきです。
冷たい言い方になるかもしれませんが、企業にとっては、利益を上げさせてくれるから、お客様であって、そうでなければ、何なのでしょう?
持続する運営を考えたときに、お客様の選別というのは必要なことだと思っています。
そして顧客サービスとは、お客様のいいなりになることで、お客様を満たすことではありません。
かえって、きちんとした哲学をもって断ることで、お客様もお店に対し魅力を感じたりするものです。
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!