料理を作る。
それは、とても尊い仕事です。
禅寺では、料理人を「典座(てんぞ)」といってとても高い役職につけています。
典座には、修行経験が深く信任のある僧が任命されてきたそうです。
食は、人の生命を養い、育てます。
たべる人のこころを満たし、悲しいときは慰め、嬉しいときはもっと楽しく、疲れたときは元気に。
そしてまた、料理を通してしか得られない幸福感を、人は味わいたいと思います。
手間暇かけて作った料理があまりに安い!
美味しい料理をつくるには、どんなに才能がある人でも時間が必要です。
技術も知識も経験も積み重ねなければ、お客さんに喜んでもらえる料理なんて作れません。
お客さんに提供する一皿は、そんな試行錯誤や苦労や努力が積み重った上にはじめて仕上がるもの。
たとえば、日本のレストランで3年、イタリアに渡り3年、帰国して3年、修業を積んできたシェフのコストはいくらでしょう?
それを一皿800円で提供した場合、そこまで努力してきた価値に見合うのでしょうか。
でも現実的に、これがいまのレストラン業界の実情で、マーケットに流されると、そんな値付けをしてしまうのも分かる気がします。
価値を上げる!
だからこそ、意識的に、どうやったら800円を1200円に、1200円を1800円に、1800円を2500円に!
売れるか?を考えなくてはなりません。
一生懸命努力してきて、一皿800円という値付けはどういうことかというと、、、
「私はこれまでたくさん勉強してきたけど、これくらいの価値しかないんです」と言ってるようなものですよね。
お客さんの為とか、感謝を還元とか、いろいろ理由はつけられますが、それは自分への慰めにすり替えてるだけ。
一皿800円の値付けは、大手ファミリーレストランが徹底的に効率化して、はじめて実現できる価格です。
お客さん自身、ファミリーレストランで支払うような金額よりも、それ相応の価格を支払った方が有難く思って食べるので、満足度も深いはず。
お客さんも納得する料理価値の作り方
なぜ、ファミリーレストランで800円の料理が、専門店では2500円なのか。
お客さんとしても、お金を払う理由が必要です。
それには説明しなくてはいけません。
私は、それを説明、もしくはプレゼンしていないレストランが多いように感じています。
だから、値段を下げざるをえなくなる。
お客さんも自然に納得する料理価値の作り方を、私は石原明氏の著書『絶対儲かる「値上げ」のしくみ教えます』(ダイヤモンド社)という著書の中からヒントを得ました。
料理の価値を上げるの10のチェックリスト
料理を本来の価値で売るために、石原氏の著書を参考に10個のチェックリストを作りました。
1.手間暇をかけている
人手不足で効率化に向かう飲食店が多いので、今後ますます手間暇をかけた料理の価値は高くなります。
2.作れる人がすくない
インターネットの普及であらゆる情報が氾濫する中、希少性のあるものの価値は高くなります。
3.素材を専門家が選んでいる
ソムリエがワインを選ぶのと同様、魚であれば○○市場の目利が選んだ天然真鯛、というだけで違います。
4.料理、素材などに長い歴史がある
たとえばフランスの伝統料理には由緒あるメニューがたくさんあります。その価値を再現するなど、工夫できることがたくさんあります。
5.有名人・著名人が気に入っている
有名人・著名人の推薦があったり、お客さんとして通ってくれてたら、ラッキーです。もしお客さんの中にいなくても、あの人も大好きな料理、と関連付けることはできます。
6.実際に経験してきた(海外修業など)
海外修業してきた人は珍しくなくなってきました。しかし、その経験は伝えるだけで権威になります。
7.特許がある
調理器具を開発したり、独自の製法を編み出したら、特許申請すると権利を大手に売ったりと思わぬビジネスができるかもしれません。
8.開発ストーリーに誰もが驚く
開発秘話は、それが大変であればるほど、共感を呼びます。一生懸命やっていると、偶然のきっかけで出来たとか、面白く、興味深いストーリーは自然と生まれるものです。それをお客さんと共有できればいい。
9.公共機関や研究者も認めた根拠がある(身体にいいなど)
医食同源、という言葉がありますが、食は身体を作るので、医学と捉えることもできます。たとえば糖尿病の方向け管理栄養士監修イタリア料理を作ったら、糖尿病の人でも安心してパスタ料理を食べれます。
10.ほかでは決してまねできない
当たり前ですが、だれにでもできる料理が高く評価されることはありません。真似のできない領域までいくには、いくつか切り口があります。料理そのものではなく、お皿にこだわっても良いと思います。ほかでは決して真似のできない提供の仕方だって、考えることができます。
人の何倍も努力して作った料理を安く売らないでください
私は、人の何倍も努力して自分を高めてきた人が料理人に多いと思います。
だからこそ、自分の価値を下げて、安売りしないでほしいと思います。
安売りすると、お客さんをたくさんこなさないといけませんから、時間も奪われます。
すると、料理をもっと深めて勉強する時間もなくなるわけですから、悪循環です。
価値に見合った値付けをして、時間を作り、さらにお客さんを感動させる料理作りにいそしむ環境が作れれば、最高じゃないですか?
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!