マーケティングを理解、実践するうえで最良の書としてお勧めする『顧客起点マーケティング』(西口一希著)。
何度も読み返し、実践を通して、深めていける本当に良い本です。
マーケティングの本質である「顧客を知ること」ことをベースに、かなり実用的に書かれているので、自分自身に落とし込むためにもここで具体的に紹介していきたいと思います。
人の心を動かす「アイデア」
たった一人の顧客の意見を聞くことを「N1分析」といいます。
顧客起点マーケティングは、N1分析を徹底して行い、理解・共感することから有効な打ち手を導き出して、拡大展開し、対象とする顧客セグメントの人数や構成比の動きを見ることで、マーケティング投資の効果検証まで行います。
そのN1分析から導き出した、人の心を動かせる商品やサービスの魅力、訴求を「アイデア」とここでは呼んでいます。
アイデアとは単に、思い付きや発想、ひらめきではなく、たった一人の顧客を徹底的に知り、具体的なプロセスを踏んで誰もがその糸口をつかみ取ることができるものです。
マーケティングにおける「アイデア」
「アイデア」がどういったものでなければいけないか、ということは明確です。
人の心を動かせるもの、人をひきつけることができるもの。
より具体的に定義すると、「アイデア」とは「独自性」と「便益」を兼ね備えたもの。
「独自性」とは、唯一無二、他にはない特徴を備えていること。
「便益」とは、顧客にとって都合がよく利益のあることです。
その2つを兼ね備えたのが、「アイデア」と呼ぶに値する。
4象限で表す「アイデア」
図で表すと下記のようになります。

独自性がなく、便益があるものは「コモディティ」といって、替わりがいくらでもある商品・サービスをいいます。
マーケットにおいては、競合と同等であり、価格競争に陥りやすい。
差別化されておらず、競争力の低いセグメントです。
便益はないが独自性がある「ギミック」は、奇をてらっただけで、勝ったり時間を費やしたりする価値のない特徴を備えているもの。
自己満足の商品・サービスに多いですね。
また、独自性もなく、便益もないのはもはや「資源破壊」。
開発コストも、時間も、コミュニケーションも、すべてが無駄になる最悪の提案となります。
プロダクトアイデアとコミュニケーションアイデア
「アイデア」は独自性と便益を兼ね備えたものですが、マーケティング業務上、さらに深堀していくと、大きく2つに分けて考えられます。
それが、プロダクトアイデアと、コミュニケーションアイデアです。
プロダクトアイデアとは?
対象顧客に対して、商品やサービスそのものに独自の機能や特徴があり、かつ具体的な便益があること。
というのが、プロダクトアイデアです。
理想的なのは、独自性そのものが便益であること。
これは最強のプロダクトアイデアとなります。
例として、iPhoneが登場時において携帯電話に音楽プレイヤーのiPod機能が備わり、さらにインターネットにもつながる唯一の携帯電話であったことが挙げられます。
また、確固たる独自性が便益を支えている場合も有効です。
たとえば、冷凍状態のものを揚げるだけでプロ顔負けの唐揚げが作れる商品があったとします。
人手不足の飲食店ではその使いやすさ自体が便益ですが、数ある類似商品の中でも「プロ顔負けの本格的な品質」に仕上げられる独自性があればその独自性が便益を支えていることになります。
コミュニケーションアイデア
「プロダクトアイデア」を対象顧客に伝え、購買行動を起こしてもらうためのコミュニケーション自体の「アイデア」。
広告やイベント、キャンペーンの仕組みなどにおける既視感のない独自性があるかどうかということが「アイデア」になります。
この場合、コミュニケーションの便益とは、たとえば広告なら、それに接することで対象顧客が「楽しい」「面白い」「心地よい」と感じられることが便益そのものになります。
要は人の気をひいたり、話題になったりするコミュニケーションのあり方を考えるわけです。
ただし、コミュニケーションアイデアによって、話題になってもその便益がプロダクト自体の便益と結びついていないと機能しない。
と著者は述べています。
プロダクトアイデアなくして、コミュニケーションアイデアはなし
いくらコミュニケーションアイデアが独自性と便益で優れていても、プロダクトアイデアが弱いと、事業成長にインパクトを与えることはできません。
良くて、一時の売上を確保するにとどまり、持続発展しない。
テレビの取材を受けて、2週間くらいはお客さんがひっきりなしに来ても、1か月後は元通りになるラーメン屋さんと一緒ですね。
らーめんが美味しいか、それがどこでも食べられない独自のものか、というプロダクト自体の魅力がなければ続かないのです。
だから、プロダクトアイデアがまず独自性と便益に優れていないとだめだ、ということになります。
相対価値ではなく、独自性を求める
らーめん屋さんは、非常に競争の激しい飲食店です。
各店が独自色を打ち出しても、すぐに真似されたり、便益の点ではなかなか差別化は難しいのでコモディティ化してしまいます。
そのためでしょう、相対価値で勝負するお店が多いように思います。
価格や、どんぐりの背比べのような微妙なこだわりを訴えるだけでは、戦略として不十分だということです。
かといって、じゃあどうすればプロダクトアイデアを高めればいいかというと、難しい。
だからラーメン屋さんの閉店率は非常に高いといわれます。
3年もつお店は半分もないのです。
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!