バイブルにしている、孫子の『兵法』。
たびたび紹介していますが、中でも好きな一節をご紹介します。
それ兵の形は水にかたどる。水の形は高きを避けて低きにおもむき、兵の形は実を避けて虚を撃つ。水は地によりて流れを制し、兵は敵によりて勝ちを制す。ゆえに兵に常勢なく、水に常形なし。
(孫子 虚実篇より)
かっこいいですよね。ほれぼれします。
私なりの解釈では、こだわるな、ということだと思っています。
上善如水
上善如水、という老子の言葉がありますが、もっとも良い生き方は水のように柔軟になることだという。
戦い方にも、型、というものはなく、水の流れが高いところから、低いところへ流れていくように、相手の得意なところはさらりとかわして、すきをつくのが良い。
相手の状況によって、いくらでも型を変えられるようにして勝負に勝てる。
あるラーメン激戦区の話
あるラーメン激戦区の話です。
その街道沿いには、およそ20kmの間に実に15店舗ものラーメン屋が点在しています。
1.3km歩けば、らーめん屋がある間隔です。
おそらく住み分けしてるのでしょうね。
それぞれの看板らーめんは、微妙にずらしています。
しょうゆ、みそ、塩、とんこつの4大スープベースに加え、煮干し出汁、あんかけ、エビ出汁、つけ麺・・・
とそれぞれ特徴を変えている。
こだわりを曲げたラーメン屋
職人的な考えだと「こだわり」というのは、簡単に捨てられるものではありません。
それで勝てなければ潔く店を閉める。
という人もいるでしょう。
この街道沿いのあるラーメン屋に、こだわりを曲げて何とか生き残ったお店があります。
そこは、シンプルな醤油ラーメンが売りでした。
味は、良かった。
色は濃い目の醤油ラーメンで、チャーシューとねぎ、メンマ、海苔だけと非常にシンプルでした。
ところが近隣には、とんこつ醤油が看板のお店があって、そこが非常に強かったんです。
日曜の昼になると、その店は行列。
味でいえば、シンプルな醤油ラーメンの方が良いと私は思っていましたが、席は8割しか埋まりません。
席数、駐車スペースはほぼ変わらないので、どちらが流行っているかは一目瞭然。
店名と看板を変更
おそらく、そのお店はリサーチしたのでしょう。
街道沿いに一軒もなかった「つけ麺」専門で勝負に出ました。
つけ麺は、一時ブームになりましたが、今は下火のようです。
しかし一定数のファンは存在するようで、らーめん激戦区において他の店はサブメニューとして位置づけしていました。
それを看板メニューに掲げたわけです。
するとどうでしょう。
ライバル店ほど繁盛はしなくても、ほどなく席は埋まり始め、その後は安定して入っています。
水にかたどる
ただ、このつけ麺を看板にしたラーメン屋さんが、3年後も残っているかというとそれは分かりません。
目新しさでお客さんが増えているだけかもしれず、リピートしてもらうために何を仕掛けているかが今、大事です。
孫子によれば、戦い方に決まった型はない。
時にはこだわりを捨てて、柔軟な選択をするのも必要。
水のように常に進むべき道を求めてやまなければ、大きな障害があっても交わして流れていける。
変化に強く、対応できてこそ、勝っていけるのだと思います。
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!