人を知る
彼を知り己を知れば百戦あやうからず。
彼を知らずして己を知れば一戦一負。
彼を知らず己を知らざれば戦うごとに必ずあやうし。
孫氏『兵法』の中でもよく知られた言葉です。
マーケティングは、人を知らないとできません。
人を知るにはどうすればいいか。
人それぞれ個性や価値観は違っても、脳の反応、こころの動きには法則があるようです。
それを学問したのが「心理学」。
ビジネスでも日常でも知っておいて損はない知識の宝庫だと思います。
人は、思った通りに行動したい
人は、自分が思ったようにしか動きません。
理屈ではなく、水が高いところから低いところに流れるように法則なんですね。
でも、現実には、誰かの思い通りに動かざるを得ない場面が多々あります。
それを脳はどう解釈するかというと「その選択を自らがした」と思おうとするようです。
買うつもりはないのに買ってしまった。
いつの間にか誘いを断れなくなっていた。
なんて経験は誰にでもあると思いますが、それがまさにそう。
断わる自由を奪う
心理学を学ぶと意図的に、そうした状況を作ることができます。
どういうことかというと、ある心理法則を利用するのです。
たとえば、募金活動が目的だとします。
「○○災害の被災者のために署名活動をお願いしています。署名いただけませんか?」
そういわれてペンを目の前に出されたら、あなたならどうしますか?
もちろん、断わることもできます。
ですが、ペンをとって署名したら最後。
「ありがとうございます。いくらでもいいですから被災者のために募金をお願いできないでしょうか?」
そこで「募金はしません」と言える人は多くないでしょう。
フット・イン・ザ・ドアという心理テクニック
最初の依頼に対しては、断ることも、受け入れることも、保留しておくこともできます。
選択は自由です。
ところがいったん最初の依頼を受け入れると、人は最初の依頼に拘束されてしまうのです。
自分の行動、言動に一貫性を持たせてしまう。
だから、次の依頼に対し「逆らい難い強制力」を感じてしまいます。
これを心理学では、フット・イン・ザ・ドア(ドアに足を挟む)テクニックと呼びます。
誰かの思い通りにならないために
このテクニックは簡単なので、様々な場面で使われています。
セールスの場面でも度々目にしますね。
アンケートは典型です。
目的は、その内容そのものではありません。
アンケートを終えた後にお願いされる、個人情報を得るのが目的である場合がほとんどです。
また、お願いするのが上手なお母さんは、子供に部屋の片づけをさせようと思ったら、こういうでしょう。
「テーブルの上、拭いといてくれない?」⇒「あ、ついでに掃除機もかけてくれたら助かる~」⇒「部屋も片付けてみたらすっきりするよ?」
構造
小さな要請⇒大きな要請(本来の目的)。
これが、フット・イン・ザ・ドアの構造です。
より高度になると、小さな要請を緻密に積み重ねて、大きな要請(本来の目的)を受け入れさせることもできそうです。
しかし、相手に意図的にそうされたと知ったら、腹立ちませんか?
服屋の店員が試着を執拗にすすめる場合、一度試着するとお客は買いやすくなるというのを分かってやっていることが多いでしょう。
この構造を分かっていれば、正しい判断ができます。
社会は不平等です。
知っているか知らないかで、損をすることが多い。
リスクの時代ですから、人を打ち負かす目的ではなく、自分が負けないようにするためにも心理学は学んでかないとな、と思います。
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!