ネガティブワードはポジティブワードの2倍強力
「人を知る」目的で心理学の学びを深めていました。
『「心理戦で」絶対に負けない本』(伊東明・内藤誼人共著/アスペクト)はとても実践的なので、おすすめです。
先だって紹介した、フット・イン・ザ・ドア、ドア・イン・ザ・フェイスという心理テクニックは、その本から得ました。
いずれも自分の主張を通すときや、交渉、セールスの現場で相手より優位に立つために知っておくべき知識です。
レトリック
言葉の使い方ひとつで、人の心理はまったく逆の働きをすることがあります。
人の心理というのは面白くて、どれだけ個性や価値観が違ったとしても、似たような動きをします。
自己保存が動物としての人間の性質ですから、当然かもしれません。
心理学で、言葉による説得技法を「レトリック」と呼びますが、相手に好ましい印象を持ってもらうのにはある秘訣があります。
それは、押し付けないこと。
具体的には、相手に判断をゆだねることです。
主張より、質問
セールスで考えると分かりやすいと思います。
「○○は機能面でも優れていて、コストも安いので、とにかくおススメです!」
というのと、
「○○は機能面でも優れていて、コストも安いのですが、良さそうだなと思いませんか?」
と尋ねられるのと、どちらの印象が良いでしょうか。
あるいは、
「このスキルはあなたの役に立つから、絶対に身につけた方がいいよ!」
というのと、
「このスキルはあなたの役に立つと思いませんか?」
と尋ねられるのと、どちらがやる気になるでしょうか。
後者の方が、良い気がしませんか?
これらのような言葉の微妙な使い方がレトリックといわれるものです。
人は皆、わがままだ
人間は、自分の思った通りに行動したい。
それが真理です。
それがたとえ完璧に正しいことだとしても、相手の主張を受け入れるより、自分で決定したいのです。
ネガティブワードは、ポジティブワードの2倍以上強い
言葉が人に与える影響は、ネガティブな表現にするか、ポジティブに表現するかで倍以上違います。
心理学者がある実験をしました。
A-①600人のうち、200人の命が絶対に助かる。
B-①600人のうち、3分の1の確率で全員助かる。しかし3分の2の確率で全滅の可能性がある。
あなたならどちらを選びますかという質問です。
これには72%の人がA-①を選びました。
では、下記の質問ならどうでしょうか。
A-②600人のうち、400人が絶対に死ぬ。
B-②600人のうち、全員死なない確率が3分の1。しかし全員死ぬ確率は3分の2。
この場合、78%の人がB-②を選んだのだそうです。
A-①とA-②は、まったく同じことを言っています。
B-①とB-②も同じです。
最初の質問には、Aを選択したのに、次の質問ではBを選択した。
ちょっとした言葉の使い方で、正反対の選択をさせるのがレトリックの力です。
ネガティブワードの強烈さ
人はネガティブワードに敏感なようです。
自己保存の本能でしょうか。
「絶対に助かる」よりも「絶対に死ぬ」という方が、強烈に印象に残る。
そして人は、上記の実験にみるようにネガティブワードを避ける傾向があります。
マイナス面を優先して考え、それを避けようとするのでしょう。
好印象を与えたいならポジティブワード
同様に、ネガティブな情報は、ポジティブな情報の倍以上のインパクトを与えます。
たとえ常日頃、信頼を積み重ねても、いったん信頼を失うと取り戻すのに倍以上の労力が必要になるのはそういうこと。
人は、ポジティブな情報より、ネガティブな情報を重視するのです。
それまで優しくしてくれたり、労わったりしてくれた記憶よりも、たったひとつの許しがたい嘘で、相手を好きではいられなくなる。
人の心理というのは繊細なものです。
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!