堀江貴文氏の『なんでお店が儲からないのかを僕が解決する』という本を読みました。この本には、レストランを開業して生き抜くためのアドバイスが端的にかかれています。
忘備録として、書き留めておきます。
めまぐるしく変化する社会と膨大な情報の中で生き抜くのはとても大変なことだ。「自分は職人だから」というプライドだけでお店に立ち、お客さんを待っているだけでは、決して勝ち抜くことはできない時代なのだ。
料理人はどうしたらいいかというと、アイデアを出し、実行するしかない。アイデアを出すには、経験を積むのが一番なのだ。
ただ、私は思います。経験と言っても、ひたすらレストランで修行するのが良いのではない。むしろ、離れた業界を見て、関係のないところの事情も知って、他のレストランが経験しえない、経験をするのがアイデアを出すためには有用でしょう。
僕が「また来たい」と思うのは、前にも書いたが驚きのあるお店。仲間を連れてまた行って、その驚きを共有したくなる。
そんな驚きを絶えず人に提供するのは並大抵のことではないだろう。でも実際に、人気をキープしているお店はそうなのだ。
腕に自信があり、かつビジネス的に成功したいのなら、どちらかというと高級な店にしたらいいと思う。「みんなに美味しいものを」なんて悪平等だ。そして、従業員にきちんとした労働対価を払い、休みを取り、ほかの店に食事に行った方が、長い目で見てよほど店を長く続けられる。
私も堀江さんと同意見なのです。
せっかくレストランを作るなら、沢山の人に来てもらうために安価でありふれた店を作るより、独自性を追求し、多少高くても長く存続できる店を目指しています。
「やらなければならない」ことと「やりたい」こと
遊びが仕事になる時代。堀江さんはそんな風に言っていますね。
理屈はこうです。
「好きなこと」「やりたいこと」であれば、時間を忘れて没頭できる。
知らず知らず、普通の人とは違うレベルの領域までいきやすくなる。
人とは違うこと、他の人が持っていないものには価値があるので「仕事」になる。
危険な言葉
なるほど、確かに人より突き抜けようと思ったら、時間も労力も才能も人より注ぎ込めば追い付けない領域までいくでしょう。ただ、それは、いくつかの条件付きです。
まずそこにマーケット(市場)がなければ、収益をあげることはできません。また「やりたいこと」自体が、他の多くの人にとっても同じように「やりたいこと」であった場合、激しい競争が生まれます。
料理をするのが好き。そういう人は、多いでしょう。でもそのマーケットで突き抜けようと思うと、「好き」だけではいかない。遊びを仕事に、というと耳障りが良くて、信じやすいのですが何でもかんでも「やりたいこと」に没頭するのは危険です。
作戦を立てる
では、どうすれば自分の「好きなこと」「やりたいこと」で生計を成り立たせ、願わくば突き抜けられるか?
ポーター氏の競争戦略では、独自の価値を生み出すこととあります。たとえば、「好きなこと」と「好きなこと」を組み合わせるのもひとつでしょう。「料理すること」だけならば、国内65万店の飲食店の中で何ら目立つ存在にはなりません。
でもそこへ、「ジャズが好き」が組み合わさるとジャズバーになったり、「家庭菜園が好き」となると、自家栽培レストランになったり、少しずつ独自色を増していきます。ただ、2つだとまだまだありきたり感はぬぐえないですよね。
3つの点を作れば、それなりに見える
たとえば、「料理」×「ジャズ」×「家庭菜園」。そうなるとたちまち楽しくなってくる。
野菜が名物のジャズバーの完成です。また、畑にジャズバンドを呼んで、野外イベントを企画しても面白いかもしれません。それで人を集めて、リスト化して、顧客となってくれたら素晴らしい。
やらなければならないこと
堀江氏の言うように「好きなことに没頭する」ということには大賛成です。ただ、勝算は立てておかないといくら何でも危険ですよね。人工知能によって、わざわざ人間がやらなくても良い仕事は増えます。言い換えると、誰にでも出来る単純な仕事は、すべてAIに置き換わっていくのです。
そんな時代に大事な視点が、「人と違うことをやる」ことであるのは疑いようがありません。その上で「好きなこと」に没頭する。そうすれば価値ある未来を手にできます。
やらなければならないことと、やりたいこと
多くのビジネスマンは「やりたくないこと」でも、やらなければなりません。そもそもその区別さえ、認められていない。
好むと好まざるにかかわらず、労働対価としてお金を得ていく仕組みの中では「やらなければならないこと」が圧倒的です。しかし、それを主体的にやるか、上司や社長に言われて、反応的にやるのか。
それは似て非なる選択です。
人間は本来、自分が思った通りに動きたい我儘な性質(脳の構造)を持っているんだそうです。誰かに言われて動くとか、命令されるとかして、心から納得できない場合、「やらされ感」が残る。人生の選択をすべて「やりたいこと」に集中投下して卓越したパフォーマンスを発揮するためには、「やらなければならないこと」に対してまずは主体的に関わっていくのが良いと思います。
私もそうやって「やりたくないこと」も飲み込んだ時、仕事の成果は一気に上がりました。人生を変えるのは知識でも学問でもスキルでもなく、日々の日常習慣から仕事、家族との会話に至るまで、「やりたいこと」化していく環境づくりが大事なんじゃないかと感じます。