カルボナーラは、卵、チーズ、ベーコン(もしくはパンチェッタ)、黒コショウだけで味付けするというシンプルなパスタ料理です。
考えてみればこの料理は、作る人にとっても、食べる人にとっても、こだわりの強い料理です。どこまで卵に火を入れるか、卵は全卵か黄身だけか、ベーコン(もしくはパンチェッタ)の厚みはどうするのか、チーズは、パルミジャーノ・レッジャーノなのか、ペコリーノなのか。パスタの太さは1.8mmでいくのか、ショートパスタでいくのか。
こだわりが強い故、邪道だと言いきる人も多いのですが、生クリーム、バターなど、副材料を加えることもあります。
カルボナーラは作り方がシンプルだからこそ差別化できる
実際、様々なレストランでカルボナーラを食べてきましたが、どこもそれぞれの特色を持っています。
ふと、思いました。これだけ広く認知されていながら、これがカルボナーラだ、という基本はあるのだろうか?もしかしたら、それは、各個人の中にあるのではないか?これは、たとえば味噌汁と一緒の感覚です。それぞれの家庭に、基本となる味がある。
他店との圧倒的な違い。それを分かりやすく、表現するなら、カルボナーラ専門というのは面白いアイデアです。
そして面白いことに、調べてみたら、カルボナーラ専門店というのはありませんでした。
カルボナーラ専門店の構想
結果から言うと、カルボナーラ専門店は面白いのではないか?と思っているのです。皆が知っている料理でありながら、市場はがら空き。専門性を高めるほどに、カルボナーラといえば〇〇、となる可能性があります。
カルボナーラを分解する
カルボナーラは、卵、チーズ、ベーコン、黒コショウのみで作られるパスタ料理です。でも、それぞれに特色を持たせることで、多様なメニューが考えられます。たとえば、これはやっているお店が多いのですが、卵にこだわるカルボナーラ。卵はカルボナーラを構成する大きな要素ですから、普通の卵と、黄身のしっかりした濃厚な卵を使うのとでは、当然違います。
それと、同じ卵を使うとしても黄身と白身のバランスで色見も変われば、濃厚さも変わる。レストランによっては、黄身しか使わない、というお店もありますし、全卵使う店もあります。全卵1個と、黄身1個分、というレシピもわりとメジャーです。
ここはもっと科学的に検証したいところです。黄身と白身のバランスはどのくらいの割合がベストなのか。
チーズはどうする?
個人的な見解ですが、どのチーズを使うのかが味の決め手になるのかなと考えています。伝統的にはペコリーノチーズですが、ペコリーノは羊の乳から作る塩味の強いやや癖のあるチーズで、これを100%使うと、日本人には美味しいと思ってもらえない場合が多い。そのため多くのお店は、グラナパダーノやパルミジャーノ・レッジャーノを使います。
でも、選択肢は、それだけではありません。ブレンドはもちろんのこと、エダムチーズなど、削って使えるハードチーズなら、どれを合わせてもそれなりにおいしくできますので、これもテストを重ねて、ベストを考えなくてはいけません。
ベーコンはどうするのか?
伝統的には、パンチェッタという塩漬け豚バラ肉を使います。日本では、ベーコンが主流ですが燻製したベーコンではないんですね。でも、個人的な見解ですが、ベーコンの方が出汁が出て旨いと思います。
カルボナーラにおいてベーコンの役割は、外見的なインパクトも大事です。カルボナーラの意味は「炭焼き職人風」。ベーコンは炭の役割をしてます。
黒コショウも同じですね。炭焼き職人が作ったら、炭が落ちるだろうということで黒コショウを削ったのがこの料理のストーリーです。
カルボナーラ専門店を流行らせるなら……
さて、ここからが独自性発揮のしどころ。
カルボナーラはこれまで述べてきたように、副材料の中でも何をどのようにどのくらい使うかで、味がかなり変わります。その調節によって、ライト、ミディアム、ヘビーと変化を出せるのです。メニューの中心は、この3つです。ライトカルボナーラ、ミディアムカルボナーラ、ヘビーカルボナーラ。
それぞれ、味わいは全く違います。たとえば、、、ライトは、全卵を使い、チーズはグラナパダーノ、すこし牛乳を足す。ミディアムは黄身8割?(確定ではありません)で、パルミジャーノとペコリーノブレンド。ヘビーは黄身100%。ペコリーノとエダムチーズをブレンド。
他にも、赤ワインで2日間マリネしたベーコンで作るカルボナーラというのもいい。カルボナーラの難点にワインに合わせづらい、というのがあるんです。卵が半生だと赤ワインはまず合いませんし、白ワインも限られます。
合わせやすくするには、卵が固まる直前まで火を入れる事。黒コショウを利かせること。そして、ベーコン(もしくはパンチェッタ)を工夫することです。
専門店では限られたカルボナーラメニューと新鮮なサラダ、カルボナーラに合うワインのみです。
いかがでしょうか、面白くないですか?