経営理念を考える

経営理念とは、何に基づいて経営を判断するか?

役職や立場は違っても、その企業に属する限り、トップからボトムまで一貫した考えをいいます。

なぜ必要なのか、その役割とは何なのか。

そんなこと分かり切っている。と思われる方も多いかもしれませんが、私にはある、気づきがありました。

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なぜ、経営理念は必要なのか?

より具体的に考えてみます。レストランでは、一般基準となるマニュアルが設けられているとします。全体の業務の8割くらいはカバーできるオペレーションを含む業務内容を体系化したものです。

しかしあるとき、そのマニュアルではカバーできないトラブルがあったらどうするか。たとえば、殺し屋がお客さんとして来店されたらどうですか?マニュアルには、殺し屋が来店したらこうする、ということは書いていません。

そんな場合を想定してマニュアルを作るとしたら、膨大なページ数になります。

飲食店の経営理念に基づいて考えてみる

経営者なら、自分の理念に基づいて、判断、行動できるかもしれません。しかしスタッフを雇っている場合、マニュアル外の出来事にどう対処すればいいのか、スタッフ本人は右往左往する可能性だってあります。

経営理念は、そんな時にとても能率を上げてくれる。

たとえば「すべてのお客様に感動的な食体験を提供する」という経営理念なら、殺し屋だろうとなんだろうと関係ありません。感動的な食体験を提要する、ということに基準があるので、やることは他のお客さんに対するものと同じ。

焦っていても、ふと我に帰れるかもしれません。

マニュアルではカバーしきれない2割を経営理念が埋める

経営理念が必要なのは、それが理由のひとつです。

何に基づいて、判断すればいいか。これが組織に浸透すると、経営者はすべて自分で判断しなくて済むようになるのです。

経営理念が生まれる背景

ただ経営理念を作ればいいかというと、そうではありません。

思ってもみないことを、理念にはできない。カッコつけてもだめです。経営理念は、それを使う者にとって、心に響かないと作用しないでしょう。呪文のように唱えるだけでは、深く入らない。

人の心にストンと入るのはやはり、創始者や経営者の感情を通して伝わった思いです。

石原明氏は「顧客との接点の中で浮かんできた感情を言葉にするのが良い」といっています。

何のために仕事をするのか?事業をするのか?

どうしてレストランの仕事が好きなのか。

考えてみると、人を喜ばすのが好き、感動させるのが好き、ということはもちろんそうですが、それだけではなく、その体験を原動力として日々の仕事や生活に彩りを加える意義ある仕事だと思っているからです。

ですから私の考えた経営理念はこうです。

人類が持続・発展・成長する原動力となる為、人生最高の食体験を提供する

何のために仕事をするかといえば、食を通して世界を変えたいんでしょうね。直接、変えることは出来ないかもしれません。でも、お客さんを通して、実現することはできると思うんです。

私が提供した食経験がひとつの原動力となって、お客さんが成功したなら、最高に素晴らしいじゃないですか。お客さんに喜んでもらう、感動してもらうことにも、意味が生まれます。

経営理念は、何のために仕事をするのかを世界に示す、言葉なんですね。

構想レストランの経営理念

人類が持続・発展・成長する原動力となる為、人生最高の食体験を提供する。

以上が構想レストランの経営理念として仮設したものです。

経済活動に携わるということは、商品やサービスを通じて人が喜んだり、幸せになったりするという社会貢献をするということ。楽しみとしての食を提供するレストランは、直接、世の中を変えることはできません。

でも、食を通して届けられた体験価値が、ある人の原動力となって、人類に貢献するということは十分に起こりえます。人類はいま、世界的な人口増と、資源減少を前に、月へ移住する計画も含め、世界中が考え続けています。日本だけを見ると、人口縮小社会ですが、世界的な問題として人口増は人類にとって大きな課題。

そうした人類が持続・発展・成長するために取り組む人や事業を、人生最高の食体験を提供することで、協力するのが目的です。

それが構想レストランの貢献の仕方。

社会悪には手を貸さない

一方で、人類の持続・発展・成長に悪影響を及ぼす事業に協力することは、理念に反します。ですから、そうした方のご来店はお断りしなくてはいけないでしょう。

「申し訳ございません。当店の理念に基づき、お客様のご来店をお受けすることは出来ません。」

そうしてお断りするケースもでてくるかもしれない。

100年持続するレストランになる為に

どうせ作るなら、100年持続するレストランにしたい。100年という単位は、代を引き継いでいくと考えると、3世代分。

世の中の飲食店の99.99%は一世代で終わるレストランです。それは、30年続くレストランが0.001%以下という統計が教えてくれています。ということは、100年続く確率は限りなくゼロに近いということ。

でも、不可能ではないと思います。周りに言うと「そんなの無理だよ」と言葉にしなくても、表情でそう伝えてきますが、なぜそう言えるでしょう。

100年間、絶え間なくお客さんが来てくれれば成り立つはず。そうですよね?その為のビジネスモデルやマーケティング、理念などを考え続けて分かってきたのは、どうやら100年続ける方法はありそうだということ。外食産業はとかく浮き沈みの激しい業界ですが、他業種では、100年企業などざらにいいます。

飲食業界が持続しづらいのは属人的で、自分の利益だけを求めて活動する人が多いからです。他の100年企業に学び、持続するやり方をコツコツと学び、他の真似できない独自の価値を創造していければできる。

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