高尾山は、東京都八王子市にあります。年間訪れる登山客は約260万人。世界で登山をする人は年間700万人だそうですから、実に登山客の37%の人が高尾山を訪れるわけです。今や「世界一登山客の多い山」となりました。富士山やエベレストを抑えてナンバーワンです。
その高尾山付近でレストランを開業することを検討しています。
ミシュランガイドで三ツ星!
高尾山は、ミシュランガイドでも紹介されていました。しかも三ツ星。
ミシュランはレストランガイドだけではなく、旅行ガイドも出しているんですね。日本の山で三ツ星と認定されたのは、富士山と高尾山。2つだけです。このガイドは日本国内というより、日本を訪れる外国人観光客向けのガイドです。三ツ星基準は「わざわざ旅行する価値がある」観光地であること。
私が子供のころ、高尾山は地元に愛される山だったと記憶していますが、しっかり名を上げましたね。
外国人観光客の需要があるエリア
年間260万人の登山客は、日本人だけではありません。訪れたことがある方はお分かりだと思いますが、海外の方も多く訪れます。
2027年に向けて、さらに高尾山への交通の便は良くなる!
さらに、高尾山は、これからますます交通利便性がアップします。大きな要因は、リニア中央新幹線と圏央道。リニア中央新幹線の開通は2027年目標とされています。
リニア中央新幹線
品川-名古屋間を最速約40分、品川-大阪間を約67分で結ぶといわれるリニア中央新幹線。その新駅設置が決定したJR橋本駅は、高尾から電車で17分なのです。ということは、約1時間半で大阪まで行ける!
この開通は高尾山にとっても、大きいですよね。関西のお客様に来てもらえる。実は、私は12年間、関西で暮らしていました。今の自分を育ててくれた人たちがたくさん住んでいる非常に思い入れの強い地域なのです。1時間半なら、遠すぎることはない。夜、お世話になったお店に食事に行って日帰りで帰れる時間です。
10年後とはいえ、非常に楽しみです。
圏央道
すでに、非常に交通の便が良くなっている圏央道ですが、東京オリンピックが開催される2020年に全線開通予定だそうです。地図を見ると面白いですね。都心に最も近いところを巡る環状道路が、「中央環状線」。その外側を取り囲むのが「東京外かく環状道路」。そして、千葉、茨城、埼玉、東京、神奈川と大きくつなげるように取り囲むのが、この「圏央道」です。
城作りでいえば、「中央環状線」が本丸、「東京外かく環状道路」が二の丸、「圏央道」が三の丸。
おかげで、東京郊外の高尾への交通アクセスは、縦横無尽になりました。都心からも中央道を通って来れるし、圏央道を通って、横浜や東海方面、また、茨木や千葉からも来やすくなります。
高尾山に、まともな宿泊施設は皆無
世界一登山が多い山なのに、宿泊施設はというと、ラブホテルばかり。というより、ラブホテルしかありません。
『「高尾山」の利用状況と施設の整備についての一考察』という資料があったので調べてみました。すると、登山客で一番多い年代が60代でおよそ24%くらい。そのうち4割は、友人同士で訪れているようです。健康を意識してのことでしょうか。
次いで多いのは、30代。およそ20%くらいです。友人同士や家族で訪れています。3番目に多いのは20代です。およそ17%くらい。そのうち8割が友人同士。次いで、50代およそ15%、40代およそ12%といった感じです。40代は6割以上が家族で訪れています。
登山客の行動パターン
なるほど、と思いました。
このデータは2009年のものと思われるので、今とは事情が少し違うかもしれません。ただここから読み取れるのは、午前中から登り始めて、山頂でご飯を食べて、夕方前には車、もしくは電車で帰る行動パターンが圧倒的だろうということ。60代の方が友人同士でおしゃべりしながら登っている光景は、私もよく覚えています。
30-50代の多くは家族連れで、子どもたちを連れてハイキングに訪れる人が多いのでしょう。おのずと、上記の行動パターンになります。他と違うように感じるのは、20代ですね。およそ8割が友人同士ですから、年配の方の行動パターンとも、ファミリーでの行動パターンとも異なる可能性があります。
この資料の分類では、一人、友人、家族、サークル、ツアー、行事、の分類しかありませんので、友人の中にはカップル・恋人同士、というのも含まれるでしょう。事実はどうかわかりませんが、20代、30代で友人同士が多いのは、登山デートする人が多いのではと思います。
宿泊施設がないのは、チャンスか?それとも、需要がないのか?
高尾山でハイキング!というのは、年配の方や家族連れにとって一日で完結してしまうレジャーなのでしょう。20代や30代はそうではないということでしょうか(笑)
でも、ミシュランガイドに掲載されて、世界一登山客の多い山なのですから、温泉付きの旅館や、ファミリーが気軽に泊まれる宿泊施設があっても良いのにな、と思ってしまいます。
もし、レストランをする場合、心行くまで酩酊していただくには宿泊施設があるかないかで、戦略も変わります。これだけ、交通の便が発達するのが決定している中、このまま開発が進まないということも考えにくいのですが、なるば宿泊付きでオーベルジュレストランにしても良いかもしれません。
高尾山付近に出店することの戦略的価値
構想レストランは100年持続させるレストランにしたいと思っています。そのためにも高尾山は、戦略的にふさわしいのではないかと目星をつけているのです。理由は大きく7つ。
- コンセプトを実現しやすい環境である。
- 同じ土俵で戦うような競合他社がいない。
- 地元の人だけでなく、インバウンド市場も狙える。
- 人を呼び込むために他業種との協力関係も築ける。
- 子供のころから慣れ親しんだ土地である。
- 環境的に、準備しやすく、イメージしやすい。
- レストランとしてのサイトだけではなく、地域の情報も兼ね備えたメディアサイトが作れる。
地を知り天を知る
100年持続することにしても、一生忘れない美味しい記憶を創るという使命感にしても、レストランとアウトドアの融合にしても、溶岩焼とカルツォーネという料理コンセプトも、完全予約制というシステムも、サービスの在り方も、高尾山付近に出店すれば親和性の高い要素となりえます。
何度も知恵を拝借している孫子にもこんな一説があります。
地を知りて天を知れば勝つ
高尾山の戦略的価値と、当社が検討している様々なプランは相性が良い。私の頭に最も残っている美味しい記憶は、高尾山の山頂で食べた、梅シソのおにぎりなんです。少し柔らかめに炊いたご飯が好みで、それを冷たい麦茶で喉に流し込むのです。季節は秋口だったと思います。母はパーカーを着て、父は半そでになり、トレーナーを肩から羽織って袖のところを胸の前で結んでいました。
縁を感じるエリアなんですね。
高尾山の麓で料理すること
これまで高尾の町で、ビジネスをすることについて検討してきました。
では、ここでレストランをする場合、どんな料理を作ればいいのか?
レストランから違う業界へ離れ、客観的にレストランを見た時、作りたい料理を作るのは間違いだと感じるようになりました。料理に限りません。ワインもサービスもそうです。
自分が作りたい料理よりも、お客様が作ってほしい料理を作るべきでしょう。それは表裏一体であるかもしれません。たとえばお客様に、どんな料理を作ってほしいか聞いて、それに応えるのでは面白くない。ラーメンが食べたくなれば、ラーメン屋さんに行けばいいのですが、レストランへお越し頂く動機は、何かを食べたいというよりも、感動したい、人生を豊かにしたい、という動機を狙いたいと思います。そのため完全予約制にした方が良いかもしれませんし、独創的な料理やサービス、空間が求められます。
すべてが未来の記憶に繋がる
目的は100年持続するレストランを創ること。お客様にとって一生忘れられない美味しい記憶を創って差し上げることです。
まだ漠然といていますが、私が提供したいのは、未来の記憶に繋がる料理。サービスも空間も、すべて。未来の記憶に繋がる体験をしていただきたい。その為の料理。その為のサービス。その為の空間づくりです。高尾山の麓でレストランをするということは、そんなコンセプトに基づいて、来て下さる方と感動を共有できるように組み立てる必要があると考えています。
ぐるぐると言い換えたりしてわかりづらいですね。
要は、高尾というエリア×レストランが相乗的に高まる設計をしなくてはならないということです。高尾はどんな地域なのか、人はどんな目的でここへ来るのか、高尾に住む人はどんな人か、何を望み、どんな生き方をして、何に幸せを感じるのか。そうした高尾の持つ地域特性とレストランのコンセプトがずれないように、むしろ相乗的に高めるられるように、料理もサービスも、すべてを設計することを忘れないようします。
高尾山新名物、カルツォーネ?
アイデアのひとつ。
カルツォーネを高尾山に登山するときの新名物にできたら、すごい。そのためには、いくつかクリアしなければならないことがあります。
持ち運びのしやすい形状で開発する
カルツォーネは、おにぎりのように持ち運びしやすい料理です。うまくいけば、サンドイッチよりも美味しさを保てるかもしれない。ワインをもって、山頂で飲んだら最高でしょうね。
サイズは、あまり大きくしない方が良い。ソースが絶対にもれてはいけない。一口サイズでもいいかもしれない。
高尾山名物といえば蕎麦?
現状、高尾山のグルメといえば、蕎麦。でも、全体の3%くらい、蕎麦ではなくて、変わったものを食べたい人がいるでしょう。高尾山の登山客は今や年間260万人。そのうち3%なら7.8万人です。1日あたり213人の計算。限定200食でもいい。石窯でカルツォーネを焼いて販売したら、売れないだろうか?
高尾カルツォーネ
新名物になるには、それだけでは弱い。何か仕掛けないと、話題にものぼりません。どうするか?
山頂限定?
山頂で売る。というのはどうでしょう?山頂でしか買えない。ワインもセットで販売できれば面白いかもしれない。今は玉こんにゃくやソバくらいしかありません。
でも、なかなか、許可はおりないでしょうね。
デザート風にする
カルツォーネは何も、ソーセージやトマトソースを中に包むだけではありません。リンゴを入れてアップルパイ風にしてもいいし、クリームやいちごを入れてもイイ。饅頭くらいの大きさにして、デザート感覚でリュックサックに入れてもらえるように工夫も出来ます。
SNSなどで、話題にならないでしょうか?
ブランドを作ってしまう
一番、手っ取り早いのは、ブランドを作ってしまうことかもしれません。たとえば、予約の取れない店の100個限定カルツォーネ。
高尾山に出店するなら、イタリア料理より、寿司がいい?
看板メニューのカルツォーネを中心に検討しましたが、ガラッと発想を変えて、カルツォーネじゃなく、寿司でも良いかもしれませんね。
世界一登山客の多い高尾山ですから、海外の方も多く訪れます。海外の方が食べたいと思うのは、日本ならではの食事。寿司は、海外でも「SUSHI」と認知されていますし、世界の魚ブームもある。富裕層の需要も結構あるのではないかと思うのです。
また、旧態依然とした寿司業態において、工夫できることが色々あるのです。ネタとシャリ。シンプルな組み合わせで食べさせるのが寿司ですが、たとえば、シャリにアンチョビを混ぜ、酢はワインヴィネガーにしてみる、とか。少し煮詰めたバルサミコ酢を使っても面白そうです。シャリに色がつきます。イカスミを混ぜ込んで、真っ黒にしてもいいかもしれない。
寿司の概念からすると、邪道なのでしょうか。私も寿司は大好きですが、あまりにも一本調子で、面白くないと感じることがあります。道をそれると、支持されるかは別にして、独自性の創出は楽です。
あくまで仮の話ですが、看板メニューを寿司にする、という選択もあるのだなと考えていました。目的は、人生最良の美味しい記憶をお作りすることですから、お客様の記憶にそれが刻み込まれれば良いのです。
あとは持続するかどうかですが、寿司はアレンジしようと思えば、いくらでもできるので、たとえば水産資源が著しく減少したとしても、ネタは肉もあれば野菜もあり、困ることはないでしょう。米は不作の年はあるでしょうが、今後はどんどん開かれた経済となり、海外からも輸入されてくるようになれば困らないと思います。
高尾は中国に買い占められつつある!?
ひとつ、懸念材料があります。
高尾一帯に、中国の資本が入っているというのです。詳細はまだ確認できていないので、これから調べますが、北海道でも中国に土地を買い占められている地域があります。水の資源が豊富な地域に多いと聞きます。
高尾は東京でありながら、都心に比べ土地も安く、自然が豊かなので資源もある。高尾山は世界一の登山客を誇る観光名所です。中国資本の手が伸びていても不思議ではない。
中国の手が伸びているとなると、こちらも考えないとなりません。中国資本相手に勝負はできない。