高尾山の麓で2021年開業予定のグランピングレストラン

東京・高尾のグランピングレストラン かくれんぼ

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遊び心

創作小説『藤田氏の告白』前編

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「呪い」とか「怨念」と申します言葉は、それを経験した者にしか分からぬ恐ろしさがございますな。尤も昔の日本人は記紀神話や今昔物語などの仏教説話を見ましても、その様な事に対して非常に臆病であったと存じますが、いったい現代の科学が発達した世の中では、「因果」や「業」という言葉も信じない人の方が多いんぢゃございますまいか。手前はもう鬚だらけの穢い爺ですので、お迎えが来るのをぼんやり待っていたんですが、漸う昨今になりましてから、このまま死ぬのはあんまりにも罪が重すぎる、せめてあの話をすっかり話しちまってから墓に入りたいものだと、そう思うようになりまして、長い間手前の胸に留めて置いた話をご覧に入れようかという気になったのでございます。それは手前にとりましても業の深い、恐ろしい事件でございますが、どうかしますとあなた様にも何かの参考になると思いますので、辛抱して聞いてやってください。・・・・・・・

その事件が起こりましたのは手前がまだ八歳という幼い時分で、年号にしますと大正十年の、夏祭りの日のことでございました。場所についてはあまり詳しく話にくうございますから、よろしくご推察を願うことにいたしまして、――――と申しますのも、当時の関係者の多くが他界したとはいえ、その土地では未だに人々が暮らしておりますし、この話の性質を考えますと、あなた様にご迷惑をおかけしないとも限りません。もしも「呪い」や「怨念」というものに敏感でしたら、ことに依りますと耳を塞いだ方がよろしいかも知れませんな。いずれにしましても、手前の生まれた辺鄙な村の話で、ございます。

村は、昔から根室家と藤田家という二つの家系が中心でございまして、どちらが村の権力を握るというのでもなく、どちらも銘々に大地主でございました。手前は藤田家の人間ですが、小さい村のこと故、長い年月の間には根室家と血の交換も随分しましたことでしょう、昔は両家の間に色々と確執もあったようでございますが、手前が生まれた時分にはそんな事は感じられませんでした。自給自足の農村でしたので、その当時は作物を分け合ったり、実際に両家の間で婚姻が交わされたりなどしていたのを覚えております。また、根室家では腹の薬が、藤田家では目や耳などの薬が代々伝えられておりまして、それだけは両家それぞれの領分として、各家で秘蔵されていたようでした、その辺りの事情は、あの出来事以来ガラッと変わってしまいましたので手前はよく存じません。それは両家の関係だけではなく、村の存続さえも危うくさせる程の、大事件でございました。

夏祭りと申しますと、今日でこそ明るく楽しい行事でしょうが、当時はそれだけでは済みませんでした。手前の村は農村でしたので、作物が取れなければ生きてゆけません、ですからお祭りは昨年の収穫に感謝をしまして、今年の豊作を願う為に神様にお供え物をし、奉納しますことが重要でございました。その日は子供も大人も、祭りの準備で一日中大忙しでございます、男衆は神社を煌びやかに飾ったり舞の稽古をするのに必死ですし、女衆は供え物を始め、村の人に振舞う食物を供える下準備に追われまして、子供は子供で、水を運んだり親の手伝い等で休む暇もございません。手前はその忙しく、慌しい雰囲気が好きでございました。肌がヒリヒリする程熱い太陽の光を浴びて、親のお使いで家から家へと駆け回り、途中で合いました友達とふざけ合ったりしながらつい田んぼに足を滑らして泥だらけになったりします楽しさは、あの時分でしか味わえないものでございましょう、水を運ぶ途中にあまりにも喉が渇いて桶の半分以上の水を飲んでしまい、また水汲み場へ戻りましたことなど、手前は今でも思い出す事がございます。実を申しますとお祭りの本番よりも準備の方が楽しいくらいでございました。子供は皆そんな風でございましたから、あの可哀想な女子、―――登美子でなくても、手前が疑われましても良かったはずでございます、・・・・・・・

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