趣味もかねて、冷凍ピッツァの通販リサーチをしました。なぜかというと、将来的に石窯をレストランに導入して、石窯ピッツァやカルツォーネを提供しようと考えたからです。通販も視野に入れているので、いざ、実食リサーチ。
薪窯ナポリピザフォンターナさん
まずは、信州の薪を使って焼き上げるこだわりの本格冷凍ナポリピッツァ専門店フォンターナさんです。
購入したのは、「本格ナポリピッツァお試し4枚セット(王道イタリアンセット)」。マルゲリータ、マリナーラ、クアトロフォルマジオ、バンビーノの4種類。
送料税込みで2571円。冷凍クール便で送られてきました。普通に送ると送料だけでも1000円以上します。契約料金などの特別待遇があるのでしょうが、それでもかなり安価に感じます。
箱は、白地に赤字で店名の書かれた段ボール。段ボール内側のふたには、「大切なお客さまへ」とお礼が綴られていました。安価ながら細部まで心配りがされていて、梱包も丁寧です。
リーフレットが素晴らしい
蓋を開けると、リーフレットが入っていました。美味しく焼くコツや、信州の薪を使っていることなど書いてます。石窯でピザを焼くとはどういうことかもわかりやすく解説されてていました。すべて手作り、とあります。たしかにサイトでも、オーダーを受けてから職人が手作りして発送する旨を記載していました。
解凍後、生地の裏側を見てみると、石窯で焼いた痕跡が見てとれます。
良いですね、この黒い焦げの香ばしさもナポリピザの特徴のひとつ。この状態からして、まず生地を4割程度やいたら取り出し、具材を載せて、冷凍したものと思われます。直径はおよそ20cm。小ぶりに見えますが、家庭で焼くにはちょうど良いサイズ。
下の写真は定番のマルゲリータ。
チーズは、本格的なモッツァレラチーズではないのが少し残念。この価格なら致し方ありませんが。
実食
なるほど、ナポリピザの特徴は若干、感じられます。ただ、お店に行って食べる石窯ナポリピッツァと比べると、見た目、味わい共に物足りなさがあります。生地も焼きたてのカリッとした香ばしさとモッチリした食感とは、ほど遠い。やや固くなっています。やはり、家庭のトースターではダメか、、、リーフレットでは本場ナポリの味を、とありますが、書かれているほど、特別なものは感じられませんでした。
でも、この価格でこの満足感なら、妥当です。お店に行って食べるのとはそもそも比較できません。焼きたてが美味しいのは当然のことだからです。
森山ナポリさん
次は、石川県金沢市にある冷凍ピザ専門店「森山ナポリ」さんです。
以前リサーチしたときに<冷凍ピザの概念を変える>とあったので、とても興味がありました。「独自の製法で瞬間冷凍し焼きたての風味をそのまま閉じ込め」る方法とは何なのか?
冷凍技術は、冷凍ピザや、カルツォーネ通販を始める時に、大きな課題になると予感するからです。
外箱がオシャレ
六角形のオシャレな箱に入ってきました。箱からして工夫されていますね。リーフレットも上品で、写真もきれいです。
なんとなく、女性がデザインしたのかなと思わせる、やわらかく、ふんわりしたカラーデザインです。
注文したのは、「おためしセット」。内容は、以下の通り。
- ベーコンとチーズ
- ダブルチーズマルゲリータ
- 塩麹の加賀野菜ピザ
送料税込みで3,218円でした。ピザ通販の相場からすると高い方でしょうか。単純には比べられませんが、前回リサーチした『薪窯ナポリピザ フォンターナ』さんは1枚あたりの単価が642.7円。『森山ナポリ』さんは1,072.6円。1.67倍の値段付けということになります。
『森山ナポリ』さんのピザは、オーブントースターで焼く場合、解凍せずに、冷凍状態のまま焼くのがおいしい食べ方だと書いています。なぜか?
これはおそらく、生地が固くなるのを防ぐためだと思われます。ナポリピザの特徴は何といっても、外側はカリッとしていながら中はもっちりとした食感にある。本来なら超高温の石窯で一気に焼き上げるのがベストですが、家庭ではそうもいきません、オーブントースターで時間をかけて焼くしかない。
そうすると、水分はどんどん蒸発しながら抜けて、ぱさつき、固くなります。冷凍状態でトースターに入れるのは、それを極力防ぐためでしょう。ただ、そうする場合、具材だけ焼けて、生地が焼けてないということが起こる。そのバランスを取るのが、難しそうです。具材によって変わりますから。
上の写真は、焼く前の「ダブルチーズマルゲリータ」です。
『森山ナポリ』さんは、6割方生地を焼いてから、具材をのせていると思われます。あらかじめ石窯で表面のみ焼き上げ、水分を閉じ込めれば、ナポリピザ特有の食感を表現できる。焼くと、こんな感じになります。
実際、食べてみると、美味しいです。1.67倍も価格が違うので当然ですが『薪窯ナポリピザ フォンターナ』さんのピザよりも生地は本格的ですし、素材もこだわっています。ナポリピザ特有の食感が感じられ、耳まで美味しく食べれます。
モッツァレラも本格的で、美味しかったですね。
※ご理解いただきたいのは、どちらが良い悪いというのではありません。販売価格に納得できるかどうかが基準だと思います。
冷凍ピザの概念を変える?
ただ、気になることがあります。
<冷凍ピザの概念を変える>とあったので、それがすごく気になっていたのですが、「独自の製法で瞬間冷凍し焼きたての風味をそのまま閉じ込め」るということに関して、リーフレットには何も書いていませんでした。企業秘密でしょうか。
たしかに冷凍するときに時間がかかると、生地内の水分が凍る時に膨張して、生地の構成組織を破壊し、解凍すると水分が流出しやすくなると想像できます。そうすると焼いた時に生地は固くなるでしょう。冷凍ピザでここまで生地が美味しくあがるのは、冷凍にポイントがあるのも頷けます。
でもそれなら、もう少し説明した方が、付加価値を高められるのにと思いました。一般的なピザ通販よりも高値で販売する大きな根拠のひとつになりますから。
通信販売の可能性~拡大する中食市場にどう応えるか~
超高齢化社会により、外食産業はますます苦戦を強いられる時代になります。『外食に対する消費者意識』という調査によると、60歳以上になると外食をほとんどしなくなる人が8割近くいるからです。それと若い人たちの価値観の変化、楽しみ方の変化も見逃せません。レストランで仕事をしていた時、大学生のアルバイトスタッフに趣味は?と聞くと、「貯金です」と返ってきたので驚いたことがありました。
不況や将来に対する不安もあるのでしょうが、お金を使わない人が増えていると聞きます。お酒を飲まない人も増えました。確かにこれだけ情報が発達すると、美味しいワインもインターネットで手軽に買えるようになります。同じワインをレストランで飲むと、高くつく。だから、家飲みになる。
クリスマスの過ごし方、というアンケートでも、レストランに食事に行くより仲間内でホームパーティーや、恋人と家でまったり、という人が増えたと聞きます。働き方改革で、労働法が見直され、残業もできなくなって、企業の宴会やパーティー需要も少なくなれば、ますますこの傾向は強くなるでしょう。外食産業はピンチですが中食産業は逆にチャンスです。
外食産業の新しいマーケットプレイス
いま、東京ではユニークなデリバリーサイトがあります。都内専門店のレストランの料理が、30分で手元に届くという、『UBEREATS』。もうひとつ、通常デリバリーをしていないレストランの料理を届けてくれる『ファインダイン』。
レストランデリバリーの新しいマーケットプレイスと考えて良いと思います。ただこれは、人口が密集している都内だから成り立つのであって、地方ならばそうはいかない。
では、地方の需要は?と考えるとまだまだ通販に活路はあります。