たんぱく質の加熱をコントロールする
昨日は、たんぱく質の料理法について考えました。
魚を加熱する場合、もっとも美味しく感じるたんぱく質の状態は、50~55度で仕上げるのがベストだということがわかりました。今日は、その続きです。
パサつきを防ぐ技
魚がパサつくのは、加熱することでたんぱく質が凝固し、抱えていた水分を抱えきれなくなって流れ出てしまうのが主な原因であると書きました。
では、パサつきを防ぐにはどうしたら良いか?
これは言いかえれば、たんぱく質の凝固を抑えて、水分を流れ出ないようにするにはどうしたら良いか?
という問いと同じことになります。
方法は大きく、3つあると考えています。
- 加熱でコントロールする
- 塩をする
- 油脂で覆う
たんぱく質の加熱によるコントロール
50~55度に仕上げるのがベストとはいえ、火入れは非常に難しいと感じます。
中火、といったって、身の厚さの違う魚を焼いた時、3分で魚が何度くらいになるかわかりますでしょうか?
私はわからない。
そして、魚の中心と、外側、身の厚さでは、温度が違うはずです。
コントロールしなければならないのは、最終的に達する温度と、そこに至るまでにかかる時間、それからそこに至ってからの加熱時間です。
これらをコントロールすることができれば、思い通りの火入れができる。
例えば、もっとも柔らかい火入れをしようとするには。
最終的に達する温度を50度に抑え、かつ、ゆっくりと時間をかけて到達するようにすると、たんぱく質の凝固を低く抑えることが出来ます。
塩をする
塩は、非常に影響力の強い調味料です。
塩の振り方ひとつで、料理は変わる。そういっていいでしょう。
なぜかというと、塩はたんぱく質に大きな影響を与えるからです。
魚に塩をすると、表面の水分で塩が溶け、濃い塩水が表面を覆います。
すると、筋細胞の中の液体との浸透圧差により、その水分が表面に浮いてくるのです。
これが「脱水」という料理工程になる。
あれ?でも水分を抜くということは、むしろパサつく原因になるのでは?
と思われたかもしれません。
鋭い!!!ところが事実は逆なのです。
たんぱく質には塩溶性たんぱく質というのがあり、塩に溶ける性質を持つたんぱく質があります。
それが溶けると、表面はなめらかになり、食感も変わり、何より保水性がアップします。
そのため、焼いても水分が流れ出にくくなり柔らかい食感に仕上がります。
また、塩溶性たんぱく質が溶けると、筋肉に含まれるたんぱく質分解酵素が働きやすくなり、たんぱく質自体が分解され、旨味成分もアップすることがわかっています。
油脂で覆う
もうひとつ、同じように保水性を向上させる方法があります。
それが、オリーブオイルなどの油脂で一定時間マリネすること。
油脂が筋繊維間に入り込み、水分の流出を防ぐので、加熱しても柔らかくなります。
以上が、たんぱく質の性質を知り、魚料理に活かすための基礎知識になります。
コロナショックにより、人の暮らしから考え方、働き方は大きく変わるのでしょう。
どうなるのか?というよりも、どう生きたいのか?
たいせつな人たちと楽しく人生を送る為に必要な資産と、生き方を、ない頭で頑張って考えてます。あなたのお役に立てれば幸いです!