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料理とワインについて

マンハッタン

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お客様との思い出

イタリア料理店に勤めていた時、私はたくさんのお客様に救われました。

私とちょうど60歳、離れた老婦人がいます。その方は、ひとりでフラッといらっしゃっては、ワインを飲み、マンハッタンというカクテルを飲みました。

お話がとても好きな方です。なぜマンハッタンというカクテルを頼むのか、理由がありました。

「君はこういうのが好きだと思うよ」

きっかけは、なくなられたご主人のすすめだったそうです。私が勤めていたレストランはその時、創業25年。その5年前にご主人はなくなった。レストランには、開店当初からご主人と来ていただいていたのです。

マンハッタンはバーボンウィスキーと、スイートベルモットというワインのリキュールを合わせて、マラスキーのチェリーを浮かべたシンプルなカクテル。マンハッタンの夜景をイメージした琥珀色と、甘い夢のような口当たりのよさが魅力です。

「ここへ来ると私の好きにさせてくれたの」

お酒を飲みに来るときだけは、ものすごく寛容になるんだそうです。家では亭主関白で、あれもってこい、これもってこい、と偉そうにするのに。

ご主人との思い出を語りながら、マンハッタンを口に運び、美味しい、と呟く。

今頃、どうされているのか、よく、思い出しています。カウンターに一人、背筋をピンと伸ばして、おしゃれして、マンハッタンを口に運ぶおばあさんの姿は、その当時でも有名でした。

「ここに来るとあなたがいるから」

そう仰っていただけたことは今でも光栄に思います。お客様とはこうした人間関係をひとつひとつ丁寧に作っていこうと誓っています。せっかく頂いたご縁ですから。

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