東京・八王子、高尾山のふもとにレストランを開業したい。
そう思った背景には、いろいろな理由がありますが、いちばんは人生最高の美味しい思い出が高尾山にあったからです。
なんてことはない、山頂で食べたおにぎり。
母親がやや炊きすぎた柔らかめのコメで、すこし餅っぽくなった梅しそのおにぎりでした。
まだ小学校にも上がっていない頃のことです。
山頂にたどり着くまでの記憶はあまりないのですが、きっと、結構きつかったんだろうなと思います。
私は親に甘えるのが苦手で、すぐに「疲れた」と言って抱っこしてもらう弟をしり目に、黙々と上っていきました。
すれ違う大人に「えらいねえ」と言われながら。
木の根が隆起する地面や、鳥の声、木々の隙間から揺れる黄色やオレンジの光を断片的に思い出します。
そうそう、普段は好きではなかった、ウーロン茶も、山頂で飲むウーロン茶は格別でした。
舌の根に残るわずかな渋み。
考えてみればこれは、赤ワインにも共通するタンニンの一種ですね。
梅しそのおにぎりと一緒に喉に流し込むのが最高にうまかった。
レストランでは、そんな美味しい記憶をお作りしたい
来て下さったお客さんに提供したいのは、そんな美味しい記憶なんです。
10年たったとき、「ああ、あの高尾山のふもとのレストランで食べた肉、美味しかったな・・・」
なんであんなに美味しかったんだろうな?と思うくらいのインパクトでちょうど良いのです。
でも、そういう思い出を、意図的に作ることって可能なのか?
ここが知恵の出しどころです。
アイデアはためてあるんですよ。
いくつかは記事に書いてますが、8割はヒミツにします。
魔法は、その仕組みが見えない方が楽しいですからね。