経済が右肩下がりの中、利益を拡大し続ける老舗食堂の話

食堂

このところの不況感は否めません。

8月は、台風の影響もあるでしょうが、それを織り込んでも期待を上回る売り上げを見込めた飲食店は少なかったと思います。

体感的には3%くらい。

しかし、逆に言えばトップ3%は利益を上げているわけです。

その秘訣は何なのか?

ある老舗食堂の話を聞きました。

そこは、ここ7~8年で、売り上げは4倍、利益は10倍、平均給与は5万円アップしたそうです。

大改革した老舗食堂

創業100年を超える老舗食堂。

観光地にある食堂で、ネット環境を整えれば集客には困りません。

ですが、7年前。

ホームページもなく、レジもなく、食券とそろばんで営業をしていました。

AI(人工知能)活用

そのお店を継いだ現社長は、元は通信会社のサラリーマンから転身したそうですが、大改革を始めます。

レジを導入し、売り上げはデータ入力し、サイトを立ち上げ、さらに天気や付近の観光客数、イベント情報、自社ホームページへのアクセス数などをデータベースに落とし込み、AIを組み込んだシステムを開発しました。

そのシステムがすごい。

当日の来客数や注文されるメニューを蓄積したデータベースからAIが分析して、事前に予測するのです。

たとえば、今日の来店数が何人で、よく出るメニューは何か、予測します。

的中率はなんと90%以上。

最小の力で最大の利益が実現

これができると、仕入れ量も仕込む量もわかってしまうので、ロスが出にくくなります。

来店予測によってオペレーションを組むので、最適な人員配置を事前に組むこともできます。

飲食店において最も大きなコストは人件費ですから、最適化するだけで生み出されるコストは計り知れません。

驚くのは、この老舗食堂が大企業ではなく、個人店であること

AIを導入というと、たいへんなコストや労力がかかると思ってしまいます。

大手のように資本がなければ、導入は難しいと考えていました。

実際、そうした側面はありますが、不可能ではないということです。

AI導入の行く末

まだ日本社会において、AIは導入期です。

人口縮小の高齢化社会では、必須の技術であることもわかります。

今後ますます一般化していくでしょう。

人材不足は飲食店に限らず、日本中の企業が頭を悩ませていますが、AIはそんな悩みを解消してくれます。

これが、一般化していくと、先の老舗食堂のように飲食店は無駄のない最適な運営ができるようになるでしょう。

AIは無敵か?

ビッグデータをもとに最適解を分析するAIは、無敵に思えます。

でも、それはあくまで人口の大多数を占める一般大衆の分析結果なんですよね。

10人いれば8人には有効かもしれませんが、2人には当てはまらないと考えている人もいます。

富裕層がその筆頭です。

お金持ちは、自分に合った独自のサービスを求める傾向が強い。

自分は特別

ソムリエをしていた時、理解しました。

高級ワインを飲む人ほど、こだわりが強いんですよね。

一般の人が好むワインでは満足できません。

そしてまた、どんなものが好きで、どんな会話をすれば楽しくいられるのか。

ソムリエにも深いレベルのサービスを要求します。

自分は「特別」

そう思っている人が多いように感じます。

そんな人に、AIは通用しないでしょう。

AI導入をできない小規模飲食店の進む道

何が言いたいかというと、AIを導入するかしないか、取るべき選択はひとつではありません。

AIを導入せず、人間力をひたすら高めることで、特別なサービスを提供することができるはず。

小規模飲食店は、その方向に舵を切るべきかなと思います。

AIにはできないサービスを提供できればいい。

多くの人にとっての最適解ではなく、お客様ひとりひとりに合った最適解を見つけるのです。

そうはいっても、簡単ではないと思いますが、ぼんやり過ごしていて、持続発展できるような時代じゃないですよね。

経済は右肩下がり。

消費税もあがる。

外食は「贅沢」に分類されますから、飲食店にとっては過酷な状況です。

頑張っていきましょう!

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