冷凍筋子からイクラ醤油漬けを作ると、洗浄の仕方と漬け方により程度の差はありますが、いくらの目玉(油滴)付近が白くなることがわかりました。
その理由は、まだ仮説段階ですが、冷凍~解凍による油滴周辺のエマルションの破壊、あるいは不安定化で、醤油など漬ける水溶液が浸透した時に、その塩分濃度では溶解しないタンパク質が析出するからではないか、ということ。
詳細については下記をご覧ください。
冷凍によるタンパク質の変性とエマルションの破壊 あるとき、冷凍した筋子から作るイクラ醤油漬けが、やや白くなっていることに気づきました。よく観察してみると、いくらの目玉部分の周辺が白濁しています。 調べてみる...
目次
冷凍筋子から作るイクラを白くさせない方法
現段階で、いくらを白くさせない方法は2つ考えられます。
1.塩イクラにする
2.醤油などの漬け時間を10分以内にする
塩イクラにする
濃度1%以上の塩水で筋子を洗い、仕上げに3~4%の塩水に5分程おき、ザルに空けて完成。
塩いくらは漬け汁につけないので、水溶液を吸い込まず白くなりません。
醤油などの漬け時間を10分以内にする
濃度1%以上の塩水で筋子を洗い、醤油など漬け汁につけます。
10分でザルに空け、水分をきって、完成。
実験したところ、いくらが水溶液を吸い込み、タンパク質が析出するのが漬け始めて10分~15分の間であることを確認しているので、それより前に上げれば白くなりません。
先にも書きましたが、エマルションの破壊、あるいは不安定化により分離したタンパク質が白くなるのは醤油程度の塩分濃度では溶解しないからです。
だから、それより前に上げてしまえば白くならない。
かといって、味が入っていないかというとそうではなく、10分程度でも醤油を吸い込んで味は入っています。
注意。漬け汁について
漬け汁については、注意が必要です。
漬ける醤油の種類や、漬け汁の濃さにより、味が全く変わってしまいます。
それが難しいところ。
市販の塩分濃度の濃い醤油(濃い口、本醸造等)のみだと、塩分が濃すぎるので要注意です。
目安としては、塩分濃度3~4%が良いと思います。
参考
下記は、参考まで。
- 甘口や、出し醤油など塩分濃度の濃すぎない醤油のみだとちょうど良い。
- 本醸造醤油を使う場合、醤油・酒・みりんを1:1:1で煮切って冷ましてから漬けるとちょうど良い。
- 醤油+出汁なら、1.5:1くらいが良い。