日本は、1991年のバブル崩壊を契機に、デフレの道を歩み始めました。
デフレとは、需要を供給が上回り物価が持続的に下がる現象です。
1998年に物価上昇率がマイナスに転じてから、消費増税した瞬間を除き、日本はずっとデフレでした。
もちろん、今も。
デフレスパイラル
100人の町に、スパゲッティ屋さんが5店舗あったとしたら、それが7店舗、10店舗と増えたら。
5店舗なら、1店舗あたり20人分配されますが、10店舗なら10人です。
こうした過当競争になると、値段を下げて差別化するお店が出てきます。
すると、それに負けじと、値段を下げて、さらに負けじと下げる。
価格を下げるという事は、収益が低くなり、人件費を安く抑えなければならなくなり、食材費を下げざるを得なくなり、結果、スパゲッティは不味くなります。
実際は、もっと複雑な要因があって、上記のシナリオ通りには運ばないかもしれませんが、デフレが及ぼす影響の一つであることは間違いありません。
この良くない連鎖でスパゲッティが不味くなることを、デフレスパイラルと呼びます。
デフレ下では、お金の価値が上がる
そのようなデフレ化では、レストランはお客さんの入りが悪くなるし、商品やサービスも売れないので、値段はどんどん安くなっていきます。
モノの価値が下がるのです。
そして、相対的に価値が上がるのがお金です。
お金の価値が上がると良いのでは?と思いますが、実際は良くありません。
人は、レストランに行くより、服や車を買うより、お金を貯めるようになります。
また、製造業などでは、モノが売れないので設備投資をして生産性を上げようとも思いません。
企業も、お金を借りるより貯蓄に回します。
需要とは?
そもそも需要とは、人々の「消費」と「投資」の合計なのです。
デフレ下では先行きが不安になる為、心理的にますます需要はしぼんでいきます。
経済成長はデフレ下で出来ない。
この状態から、日本は20年以上抜け出せていません。
そんな国は、世界中どこを見渡しても他にないようです。
では、どうすれば抜け出せるのか?
需要不足で供給過多のデフレから、需要過多で供給不足のインフレに逆回転させるにはどうすればいいか?
ある矛盾
インフレへと逆回転させるために人々がとる行動はただひとつ。
「消費」と「投資」をすること。
人々がそうすればするほど、スパゲッティも美味しくなります。
スパゲッティの適正な値段をきちんともらえれば、余裕も出てきて、もっと美味しくするための工夫も出来、人件費もしっかり出せて、収益が出てば他のお店に勉強しにいったりして、さらに品質があがります。
ただ、問題は、そうする為にはあまりに先行きが不透明で、何より、お金が、ない。
だから、人々は、インフレにするのではなく、デフレへと向かう逆の行動をとる。
「節約」と「貯蓄」です。
この問題を解決するには、一人がいくら奮闘したってどうにかなるものではありません。
経済というのは大きな大きな歯車だとイメージしていて、デフレ回転してるものを止めるのは不可能だと思います。
大勢の力で押し返すのはもちろんですが、それよりもまず、逆回転させるためのレバーを引かなくてはならない。
それが出来るのは、政府しかいません。