日本の平均世帯年収の中央値は2018年度で423万円。
1995年は550万円でした。
特筆すべきは、年収100万円台から400万円代の世帯が突出して多く、全体の41%にも達します。
こうしてみると、日本の半分以上は500万円以下で、かつて昭和の高度経済成長期には中間層の増大から「一億総中流」と呼ばれた時代はとうに過ぎ去ったことが分かります。
目をそむけたくなる事実
でも、これは、日本の<今>と<これから>を示す一例にすぎません。
世界各国の経済成長率を見ると、日本はこの20年、全く、成長していないどころか、唯一「成長していない」ことが分かります。
これは、名目GDPベースなので、やや極端なグラフかもしれません。
しかし事実、1995年と、2015年のGDPランキングを見てみると、がらりと様相が変わっています。
1995年GDPランキング
順位 | 名称 | 単位: 10億USドル | 地域 |
---|---|---|---|
- | 合計 | 30,980.33 | - |
1位 | アメリカ | 7,639.75 | 北米 |
2位 | 日本 | 5,449.12 | アジア |
3位 | ドイツ | 2,588.00 | ヨーロッパ |
4位 | フランス | 1,602.13 | ヨーロッパ |
5位 | イギリス | 1,336.13 | ヨーロッパ |
6位 | イタリア | 1,171.40 | ヨーロッパ |
7位 | ブラジル | 786.54 | 中南米 |
8位 | 中国 | 736.87 | アジア |
9位 | スペイン | 612.43 | ヨーロッパ |
10位 | カナダ | 605.92 | 北米 |
2015年GDPランキング
順位 | 名称 | 単位: 10億USドル | 地域 |
---|---|---|---|
- | 合計 | 74,673.41 | - |
1位 | アメリカ | 18,224.78 | 北米 |
2位 | 中国 | 11,226.19 | アジア |
3位 | 日本 | 4,389.48 | アジア |
4位 | ドイツ | 3,362.24 | ヨーロッパ |
5位 | イギリス | 2,897.06 | ヨーロッパ |
6位 | フランス | 2,439.44 | ヨーロッパ |
7位 | インド | 2,103.59 | アジア |
8位 | イタリア | 1,833.20 | ヨーロッパ |
9位 | ブラジル | 1,799.88 | 中南米 |
10位 | カナダ | 1,556.51 | 北米 |
たしかに日本だけが、成長していません。
貧困層増加と、貯蓄ゼロ
生活保護世帯は1995年ごろには約60万世帯でしたが、2018年は160万世帯を超えています。
高齢者は5人に1人が貧困層(可処分所得が122万円未満)。
もちろん貯金なんか、余裕のある人にしかできません。
2018年は金融資産ゼロの世帯が30%以上。
1995年ごろは10%にも満ちませんでした。
そして、胸が痛い事実ですが、日本の子供の貧困率はOECD加盟国中、下から常に10位以内。
6~7人に1人は貧困層にあたります。
最たる原因は財政政策??
原因は戦後長きにわたる緊縮財政であると、一部の経済学者は言っています。
日本は、GDP比では世界最大の借金を抱えていると言われ、これ以上増えると借金の利息を払えなくなって、デフォルト(債務不履行)する!と煽られてきました。
でも、これは10年も前から一部の人が言っていたことです。
しかし未だに、財政破たんの気配はない。
勘違いしていること
日本の借金は「国債」といって、国の信用を担保に証券化することて、銀行などに買い取ってもらい、お金を工面します。
私もかつてはそうで、多くの人が勘違いしますが、銀行は、私たちが預けているお金で国債を買うのではありません。
日銀当座預金という、一般国民が利用できない、銀行の為の銀行というのがあり、その準備金を利用して、国債を買うのです。
だから、国債を発行しすぎると、銀行から私たちの預金がなくなって、ハイパーインフレになる!という人がいますが、まず、なりません。
インフレは、供給を需要が上回ることで起こる現象です。
これが行き過ぎると、缶ジュース一本買うのに、1000円札が数枚、必要になるかもしれない。
まずいこと
それよりもまずいのは、失業者が増え、事業が倒産し、お金がないので消費がさらに鈍くなり、ますます業績の悪くなった事業は、さらなる失業者を生むこと・・。
政府は、プライマリーバランス黒字化目標というのを持っています。
つまり、税収と、歳入で赤を出さないということなんです。
それを実現する為に増税があり、同時に公共投資削減、無駄な病床数削減、民営化、地方の重複行政をひとつにするなどの改革をします。
これが、歴史や文化、アートが入り込むすき間がないほど、無駄を削除されるのです。
このままでは、日本の誇る芸術性や地方名産品もどんどんすたれてしまいます。
コロナをきっかけに、新しい貨幣論を多くの人が理解することを祈ります。