内閣総理大臣の辞意を表明した安倍総理。
潰瘍性大腸炎はほんとうに大変だったと思います。
学生の頃、腸炎で救急車に運ばれたことがありますが、腹がちぎれそうで死ぬかと思いました。
その割に、点滴と3日間の絶食ですぐに回復して、あっけない気がしたのを覚えています。
潰瘍性大腸炎は原因不明の指定難病で、人により程度は異なるようですが、症状が強く出たり、何ともなかったり、その波は激しいそうです。
そうした中、総理大臣という激務をこなしてきたことに対して、敬意を表します。
ですが、それと総理大臣としての成果とは分けて考えなければいけません。
総理自身も、「レガシー(業績、実績)は国民や歴史が判断していくことだ」と述べていますし、客観的に冷静に、総括すべきと思います。
どう考えても、やっぱり、嘘はよくない
悪気がなくウソをつく人は多い。
その嘘によって、自分の頭の中を支配し、うそが本当のように思いこむ事は人間の自己防衛機能だというような説を聞いたことがあります。
なるほどな、と思いました。
ものすごくツライ経験をリアルに受け止めていたらメンタルが持たない。
事実をゆがめて、ウソの世界を信じることで、救われることもあるでしょう。
考えてみれば歴史は、どこまでが事実で、どこからがフィクションなのか、語り手が100人いれば100様の見え方があります。
もっとも客観的な事実を語れるのは、言葉ではなく、数字でしょう。
安倍総理は、会見でこう述べました。
「働く場を作ることを大きな政策課題として掲げて20年続いたデフレに3本の矢で挑み400万人をこえる雇用を作り出すことができた。成長の果実を生かして保育の拡充、幼児教育と保育の無償化、高等教育の無償化、そして、働き方改革や、一億総活躍社会へ向けて大きく一歩踏み出すことができたと思っている」
長引くデフレ改善にチャレンジした結果、雇用を創出したことを誇っています。
この言い方はまるで、デフレを改善して経済成長させ、400万人の雇用創出に成功した。
と聞こえませんか。
でも、400万人の雇用創出がどのようになされたか。
数字を見ると、日本人の実質賃金は2012年~2019年にかけ4.4%減少。家計の消費支出は、2012年~2020年にかけ、13%DOWN。
おかしいと思いませんか?
経済成長しているなら、実質賃金が上がりながら、雇用創出が生まれるはず。
当然、家計の消費支出も増える。
そこで内実を見てみると、答えは簡単で、女性の就労者が149万人、65歳以上の高齢者が270万人増えただけのこと。
言い換えれば、実質賃金が減ったから安い賃金で、女性も高齢者も働かざるを得なくなったのです。
これを、三橋貴明氏は「発展途上国国家」だと指摘しています。
わずかなGDP増加分は・・・
実質GDPを見ると、安倍政権発足から2012年(502兆円)~2020年(526兆円)までわずかに成長しているように見えます。
では、なぜ、実質賃金は下がっているのか?
格差が拡大しているからでしょう。
私もまだまだ勉強中ですが、国民全体としては貧困化しているのなら、一方で、豊かになっている人がいないと釣りあいません。
ギスギスした、嫌な世の中になってきました。
個人レベルで出来ることは、自分の能力才能を、他の問題解決のために活かすこと。
私に今できるのは、それしかない。