野球の競技人口は少子化を上回るスピードで減っているという。
中体連のデータによると2001年に32.1万人だった中学軟式野球人口は、2019年は17万人。
半数近く減っています。
中学生の頃は、野球の面白さがひとつも理解できませんでした。
とにかく試合時間が長いし、坊主にしなくてはならないし、古臭いし、努力と根性という感じで、反発さえ覚えた。
でも今、プロ野球を見るのが日々の楽しみになっています。
野球の構造的面白さを分解してみる
20年たって、なぜ野球を面白く感じるようになったのか。
自分だけではない、多くの人を熱狂させる野球の面白さの正体は何なのか。
ある時、不思議に思って、分解してみました。
仕組まれたストーリー
人が「面白い」と感じるポイントは人それぞれですが、多くの人に共通して、引き込まれるストーリーの型があるのはご存知でしょうか?
一発逆転ストーリーです。
映画でも漫画でも小説でも、昔話でも、人はどうやら、大どんでん返しがたまらなく好きらしい。
たしかに何事もなく終わる物語は支持を得ません。
いつの時代も、多くの人を熱狂させるのは起伏があり、驚きのラストがあったりします。
また、最後にはヒーローが勝つことがわかっていても、必ずと言っていい程、大ピンチの場面はある。
それに打ち勝ったとき、人は歓声を上げます。
ダイヤモンドに埋め込まれたそろばん
野球におけるダイヤモンドといえば、本塁、一塁、二塁、三塁を結ぶひし形です。
本塁ー二塁間、一塁ー三塁間は、127フィート3インチ3/8(38.795メートル)と決められています。
このダイヤモンドが、憎いくらい計算されている。
人の走る速さと、球の速度がほんの小さなさじ加減で、アウトになるかセーフになるか変わるんですよね。
たとえば、盗塁
ピッチャーが振りかぶり、バッターを打ち取ろうと球を投げる。
一方、一塁走者が二塁へ盗塁しようとする。
気づいたキャッチャーが、盗塁を阻止しようと二塁へ投げる。
走者はピッチャーの不意を突き、出来るだけ早い段階でスタートを切れれば勝機が見える。
キャッチャーは正確な投球とスピードが要求されます。
またピッチャーに追っては盗塁を警戒してけん制するなど、背後にいる走者との駆け引きがある。
この盗塁ひとつとっても、走者、キャッチャー、ピッチャーのほんの判断ミスや、動作の遅れで、勝敗が決します。
これが、もう少し塁と塁の間が狭ければ、走者に有利すぎるし、広ければ、ピッチャーとキャッチャーに有利すぎるでしょう。
ほんとうに絶妙な距離だと思います。
ヒットとセカンドゴロの違い
ヒットか、セカンドゴロか、結果は大きく違います。
同じ方向に打球が飛んでも、守備の壁をすり抜ければヒット、阻まれればセカンドゴロです。
面白いのは、抜ければほとんどの場合、走者は一塁を先に踏む。
阻まれれば、球の方がはやく一塁手に渡る。
当たり前のようですが、これもダイヤモンドの計算されつくした距離だと感じます。
野球のダイヤモンドはドラマ製造機
この緻密に計算されたダイヤモンドの上で行われる野球は、当然、ドラマが生まれやすくなります。
タッチの差でセーフになって、それがきっかけで、勝ち越したり。
ささいなミスでアウトを取りそこなって、守備が崩れたり。
観ている方はハラハラドキドキ。
たびたび目にする緊迫の場面
9回裏3-2で負けていて、2アウト2塁、3ボール2ストライク。
ヒットが出れば同点の可能性があり、ホームランなら一発逆転。
ピッチャーが投げる。
打つ。
ファール。
緊迫の瞬間・・・。
野球の場合、こうした場面に幾度も出くわします。
結果はどうなるのか、少し先の未来に起こりうるパターンは勝つか負けるか、同点かしかないのに、いずれも起こりうる。
やはりダイヤモンドの構造が、こうした状況を何度も作り出してるんですよね。