構想レストランでは、カルツォーネを看板にしてはどうかと考えていました。今回は、看板メニューとしてのカルツォーネの可能性を検討したいと思います。
ピッツァはどうだろう?
構想レストランの基準を満たし、なおかつ、看板メニュー足りえるには、5つの条件があります。
①どんなに時代が変わっても変わらず愛され続けるような美味しい料理であること。
②原料が枯渇することなく、価格も安定していて、持続して製造できること。
③レストランではもちろん、テイクアウトでも通販でも提供可能であること。
④真似されにくく、新規参入も難しい。他社と差別化できるメニューであること。
⑤そこから派生させられる可能性が広いこと。
以上の条件を満たすものとして、ピッツァは良いと考えたのですが、単にピッツァなら、宅配ピザや本格的なピッツェリアは飽和状態。そこに挑んでもどうしたって後発組です。
それならば、ということで、思いついたのが、ピザはピザでも【カルツォーネ】はどうだろうか?と思ったわけです。カルツォーネはイタリア語で「ズボン」という意味で、簡単に言えばピッツァの具材を中に包み込んでオーブンで焼き上げた大きな餃子のようなピッツァです。
私は学生時代にナポリピッツァに出会い、そこから虜になりました。
ナポリピッツァは400度を超える石窯で短時間で焼き上げるピッツァです。一般的なオーブンで焼き上げるクリスピーな生地とは違い、もちもちとして、小麦本来の旨さと絶妙に焦げた香ばしさが際立つのが特徴です。
差別化要素の一つとして、石窯は導入したいなあと思っています。
カルツォーネの一般認識
カルツォーネは一般的な認識からするとピザではなく、パンと捉えられているのではないかと推測しています。パン屋さんでも「カルツォーネ」と販売しているのを見かけたことがあります。
また「カルツォーネ」でインターネット検索すると、イタリア風ホットサンド、サンドイッチという解説も見られます。間違った認識も広く普及してしまえば、それが常識になります。
それに、カルツォーネって何?という人もまだまだ多いはず。検索すればそれなりに出てくるものの正確な情報は少ない。リサーチしたところ、専門店はたったの3店。通販で扱っているお店も3店でした。
情報爆発社会において、カルツォーネの価値とは!?
いまは情報社会ではなく、情報<爆発>社会であるとマーケッター神田昌典さんは言っています。情報は瞬時に理解できないと埋もれてしまうということです。品質の良さやこだわりを理解してもらうのにユーザーがかける時間は、非常に短い。丁寧に作りこんでも、見てくれる人はごくわずかなのでしょう。
最新のデータによると、インターネットで購買目的の人が判断に要するのはたったの2秒だという実験結果もあるそうです。(参照元は秘匿性が高いため公表できません。いずれ本になると思います。)
この奮闘記も、隅から隅まで読んでくださる方は限りなくゼロに近いでしょう。もちろん、それでOKです。目的は忘備録&資産化ですから。
2秒で判断できるイメージデザイン!
目指すのは2秒で即断できるイメージデザイン。
何これ?と興味を引きつけるカルツォーネをデザインしようと考えています。条件は、視覚的にこれまでにないもの。魅せ方の問題です。半分に割ったところを開いて見せるか。でもそれでは普通。誰でもやりそうなことです。
生地をピンクにしてみたらどうか?桜餅みたいになってしまうか。。。子供が大口開けて幸せそうに頬張る場面などわかりやすくて訴求力があるかもしれません。いっそ、見せない、というのも手でしょうか。
・・・とにかく興味を持ってもらって、カルツォーネって何だろう?というところまで導くのがこのデザインの役割。考えていきます。
カルツォーネはどれだけ普及してるのか?
構想レストランの看板メニュー候補カルツォーネを、リサーチしているとチャンスがたくさん見えてきました。
通販をするにしてもカルツォーネ専門という視点で見れば、競合店は今のところいません。ピザの一種としてみると競合店だらけですが、わざわざそこへ参入しなくても良い。
また、ピザの通販と比べられたとしても、独自の付加価値があれば比べても意味がなくなります。狙いは、土俵にあがらないこと。競争の激しい市場で戦わない戦略です。
だから今のところ、たとえば楽天やぐるなびなどのマーケットプレイスに出店するつもりはありません。
カルツォーネ専門店リサーチ
では、実店舗として、カルツォーネ専門店がどれだけあるのか?リサーチしてみます。
●鎌倉カルツォーネ モンテ・ミノリーノ さん
鎌倉カルツォーネ、良い響きですね。カマクラという語呂は人によって、穴ぐらを連想します。雪国で作られるカマクラはまるで石窯のようですし、カルツォーネの形状ともどことなく似ています。
このイメージの連鎖は、記憶に残りますよね。そういう意味で、鎌倉カルツォーネ、というのは素晴らしいネーミングだと思いました。このお店は、週4日営業です。逆にいえば、週3日休み。素晴らしいですね。
こういう働き方を目指したい。
また、「デザート・カルツォーネ」も出されています。私も多種類、考えていますが、こういうのは先にやった者勝ちなので、早くやりたいですね。
●RCO兵庫 カルツォーネ専門店 さん
Instagramのページなので、アカウント登録しないと詳しくは見れません。
カジュアルな感じのお店です。
●SISTIANA さん
東京原宿に店を構えます。究極のカルツォーネ専門店と謳っています。ミシュラン獲得のイタリア人のシェフがプロデュースしているようです。本場のカルツォーネが売りのようです。
コンセプトも、提供したいカルツォーネも違いますが一度、訪れてみたいですね。
カルツォーネの通販はあるのか?
では、カルツォーネの通販をしているお店はあるのでしょうか?
看板メニューをカルツォーネとする場合、通販も検討できます。そして、通販となれば、レストラン以上に差別化するのが難しくなるでしょう。出店地を、高尾山付近なら高尾山付近の中で目立てればいいが、通販となると競合他社は世界です。そのため「戦わない戦略」をとろうと考えていますが、まずはリサーチです。
カルツォーネは「ピザ」のカテゴリなので、ピッツァの通販としてはどんなものがあるのか。さらに、石窯を導入するとなれば、ナポリピッツァが直接の比較対象となります。ナポリピッツァは、石窯で焼かないと、ナポリピッツァといえないからです。普通のオーブンでは焼けません。石窯に対流する輻射熱で短時間のうちに一気に焼き上げる。だからこそ、外側はカリッと、中はもちもちとした食感が実現できます。
この石窯を使って焼き上げたピッツァの通販を、調べてみました。意外と専門店がやっています。価格も安価なので驚きました。気になったお店を留めておきたいと思います。
Pizzeria Ohsaki さん
専門店がやっている雰囲気が強く出ています。サイトも専門店の中ではわかりやすくて良い。写真も本格的です。サイトの作り方、わかりやすい言葉の使い方から、広くお客様のことを見ようとしていることがわかります。
ナポリピッツァ、という言葉は10年前に比べればかなり浸透しましたが、日本ではまだまだ「ピザ」の一種です。Google検索するとき、キーワードに「ピッツァ」といれるか、「ピザ」といれるか。広くお客様のことを見ていれば、「ピザ」といれる方が多数だと知っている。
どんなに専門的で旨いピッツァを作っても、知られなければ意味がありません。このお店はそこを上手に伝えようとしているお店だと感じました。
薪窯ナポリピザ フォンターナ さん
ナポリピッツァが売りですが、ナポリピッツァでなく「ナポリピザ」と表記していることからわかるように、より広汎性を持たせたメニュー、写真、デザイン構成です。面白いのは、業販とエンドユーザーと販路を2つ設けていること。飲食店でも本格的なナポリピッツァを簡単にメニュー化できるように、というコンセプトで業販用は考えられています。これから飲食業界も人が減り、技術を持った人はどんどんいなくなりますから、ますます需要が高くなるのではないかと思います。
メニュー内容は専門性を強調するより、老若男女、子どもから年配の方まで家族みんなで食べれそうなラインナップです。楽天にも出店しています。
森山ナポリ さん
このお店はこれからカルツォーネ通販を始めようと思っている私にとって、とても興味深いコンセプトをもっています。サイトのトップページに買いてある「冷凍ピザの概念を変える」です。カルツォーネを通販する場合、間違いなく焼きたてよりも味は落ちる。それをどう解決するかが、最も大きな課題だと思っていたからです。「独自の製法で瞬間冷凍させる」とありますが、どうやっているのか。他の冷凍ピザとどう違うのか。気になります。
ナポリピッツァ以外の通販
石窯で焼き上げるナポリピッツァではなく、アメリカンスタイルのピザ通販もリサーチしておきます。
PIZZA HOUSE ROSSO さん
このお店はライバルが明確です。敵は宅配ピザ!価格、利便性、味の順で差別化しようとしているのかなと思いました。宅配ピザより、安くて、食べたい時に食べれて、味も美味しいですよ、ということですね。
PIZZA HOUSE ペック さん
こちらは、ヘルシーさと無添加を謳って、安心安全をアピールしたアメリカンスタイルのピザです。冷凍技術も研究されているようです。
カルツォーネの通販をしているお店
これまで「ピザの通販」を調べてきた中で、カルツォーネの通販はほぼありませんでした。でも、ゼロではありません。カルツォーネを扱っているお店のリストをあげておきます。
ANTONIO’S DELI さん
シチリア出身のオーナーが開いたイタリア料理店が作るカルツォーネ。ただ、「イタリアン惣菜」というキーワードがあるように、どちらかというと惣菜の延長上のカルツォーネです。
ララポルタ さん
ここは、生パスタ通販が得意のお店。洋風おせち、クリスマスディナーセットなどホームパーティー向けの商品が多いです。その中の商品ラインナップのひとつでカルツォーネがあります。写真も美味しそうです。
京都パン屋GREEN さん
ピザとしてのカルツォーネではなく、パンと位置づけて販売されています。
本格カルツォーネの通販はゼロ!?
調べてみて、ほっとしました。ピザの通販、生パスタの通販は数あれど、カルツォーネ専門の通販は、まだありません。石窯で焼くカルツォーネに限れば、一件もない。もし、カルツォーネ専門店をすれば「日本初!石窯カルツォーネ専門店」と謳えます(笑)
私にとってのカルツォーネ
カルツォーネ専門店をインターネットでリサーチすると、実店舗では3店舗。通販で、専門店はゼロでした。単純にカルツォーネ専門店とすると敵が非常に少ないので、チャンスともいえますが、それだけ浸透していないということでしょう。
カルツォーネ一本で勝負するのは難しいことの表れでもあります。当レストランにとって、カルツォーネは核メニューですが、いいかえればコース料理の一品のひとつです。看板料理ですが、お客様を楽しませる要素のひとつでしかない。
カルツォーネは流行らないのか?
カルツォーネというのは焼きあがった時のインパクトと、中に何が入っているのかワクワクさせる期待感が魅力のピザです。餃子のように、具材をピザ生地でくるんで焼き上げる料理で、具材はソーセージやトマト、チーズが定番。
小さく焼けば、パニーニやサンドイッチのような軽食になるし、大きく焼けばインスタ映えします。だから流行らそうと思えば、簡単なんじゃないかな・・と思っていたのですが、実際はそうもいかないのでしょうか。
テイクアウトしやすく、外でも食べやすい形にしようと思っていました。サイズは小さめで、出来るだけかさばらないパッケージを用意して、荷物の邪魔にならない工夫をすれば、面白いかもしれません。
特に女性には楽しんでもらえるよう、ピザ生地にホウレンソウやバジルを混ぜて緑色の生地にしたり、逆にイカ墨を混ぜ込んで、まっくろの爆弾のようなスタイルにしてみたり……。
本場イタリア各地のカルツォーネ
さて、本場イタリアでは、どのようなカルツォーネが楽しまれているのでしょうか?調べてみました。
マルケ風カルツォーネ
カルツォーネという料理は、前菜にも、主菜にも、デザートにもなります。
イタリアにおいてカルツォーネは、手に持って食べやすいので街頭で売られることも多いようですが、イタリア・マルケ州では、クッキー程の大きさに焼いたカルツォーネが名物だそうです。中にペコリーノチーズかリコッタチーズか豆か栗をベースにしたものと他の材料を混ぜて入れ、オーブンで焼くか油で揚げるのがマルケ風。
こういうのも、知識はあっても食べたことはないので、 一度、食べに行かなきゃいけませんね。
シチリア風カルツォーネ
フィリング(中に詰めるもの)はタマネギ、アンチョビ、オリーブ、チーズ、モルタデッラ。シチリア風は、焼くのでなく、揚げるようですね。
プーリア風カルツォーネ
プーリア風は、一番馴染みがあるかもしれません。トマトとモッツァレッラチーズが入ったのが、プーリア風カルツォーネ。パンツェロッティ (panzarotti) とも呼ばれます。
世界各国のカルツォーネ
では、イタリア以外では、どんなカルツォーネがあるのか、みなさんご存じですか?結構、面白いのがあるんですよ。調べた結果をご紹介しますね。
アメリカ風カルツォーネ
アメリカでピザが発達したのは、イタリア系移民が多いからです。カルツォーネももちろん、あります。ピザ生地に、チーズ、ハム、サラミ、野菜等様々なフィリングを詰めるのがアメリカ風。日本で知られるカルツォーネの定番は、イタリアよりもむしろ、アメリカ風でしょうか。
チーズは通常モッツァレッラチーズ、リコッタですが、パルメザン、プロヴォローネも使われるようですね。
コネチカット州ミドルタウンでは、スカッチャータ (scacciata)という料理があると聞きました。カルツォーネと似てますが、フィリングはブロッコリー、ホウレンソウ、ジャガイモ、タマネギで、ソーセージ入りの場合もあるそう。
スカッチャータはミドルタウン北部のシチリア移民の家庭で、かつては定番として調理されていたようです。
イギリス風カルツォーネ
スコットランドのケバブ店で人気の料理となったカルツォーネの具は、ドネルケバブ、チキンティッカ、串焼きケバブ、または全部であり、香辛料の効いたタマネギを添えて供されるようです。客の目の前で小量のウイスキーをフランベして供するのだそうですが、その提供方法は面白いですね。
たとえばこんなメニューはどうでしょう、燃えるカルツォーネ(笑)
提供方法としては面白いですね。
番街:日本のひと口カルツォーネ
実は、こんなカルツォーネがあったらおもしろいな、と思っていたカルツォーネがありました。一口餃子のような、つまみに最高のカルツォーネです。
ワインのあてに最高だと思います。中身は色々、考えられます。アンチョビとオリーブで娼婦風。グラタン風も良いですし、バジルペーストも良さそうです。ミートソースや四種のチーズもワインのお共に最高でしょう。デザート風にチョコレートでも良い。
レストランのお土産に良いかもしれません。実はかなり真剣に考えていました。でも、調べたところ……さすがは情報社会。餃子の皮で「ひとくちカルツォーネ」と称して作っている人が意外といらっしゃいました。「餃子の皮でカンタン!」と。
でも、それは、やっぱり、違う。
餃子の皮では、どうしたって、カルツォーネ”風”。ピザ生地の食べ応えあってこそ、中身が乗ってくる。餃子の皮では頼りありません。具材が勝ちすぎる。かといって、合わせようとすると、ものたりない。
個人で流行らせるには、限界がありそうですが(笑)
インスタ映えするカルツォーネ
では、インスタ映えするカルツォーネを作るとしたら、どんなデザインがいいだろうか?
クロワッサンのように、形に特徴を持たせても良いかもしれない。もっと立体的にアレンジしても良い。たとえば、ピサの斜塔風なんてどうですか?横に広げず、上にいく。ちょっと傾いちゃうだろうから、ピサの斜塔風。これはボツね(笑)
コロッセオ風はどうでしょう。コロッセオをイメージした闘技場風のデザインで、、、ってこれはもはやカルツォーネじゃなくなってますね。
カルツォーネはカットした時、映える
カルツォーネを看板料理にしようと思ったとき、カルツォーネにナイフを入れて、切り分けた瞬間が勝負だとは考えていました。切った瞬間にとろーっと出てくるチーズ、こうばしく焦げたピザ生地。立ち上る香りまで表現できそうな、写真にはなるだろうと思います。
でも、もう一工夫、欲しい。
たとえば具材を野球ボール程の大きさに凍らせて、それをピザ生地で丸く包み、焼き上げる。器は、地球儀のような立体的なデザインにする。ちょっと、発想が飛びすぎかもしれません。
石窯を使わないカルツォーネ
石窯でしか焼けない、カルツォーネにしなくてはいけないと考えていました。家庭用のオーブンや、トースターなどで、同じように作れたら、レストランでわざわざ食べる意味がありません。
でも、石窯を使わないカルツォーネの可能性を考えていました。そこでふと、油で揚げたらいいじゃないか。と気づいたのです。
石窯は400度を超す、超高温の輻射熱で焼き上げるので、条件が違いますが、オーブンなどで熱を放射させて加熱するよりも、液体の中に浸す方が熱の伝達は格段に早いのです。沸騰したお湯でボイルするのと、揚げるのと、仕上がり時間が違うのはその為ですね。
テストしてみると期待以上に、仕上がりが良かった。生地も表面はサクッとして、内側は弾力のある食感が残っています。カレーパンをイメージしていただくと良いかもしれません。
ただ、揚げると無駄にカロリーは高くなります。なのであくまで忘備録としてとどめておきましょう。