飲食店は苦労して開業しても3年で70%が閉店に追い込まれ、10年以上持続するとなると統計上は1割しかありません。
そんな厳しい道をわざわざ選択するなんて馬鹿じゃないかと思いますが、それでも、挑戦したいと思える魅力が飲食店にはあります。
簡単に言うと、自己実現。
世界中の人の幸せの為に身を削る人からしたら「なんと強欲な・・」と思われるかもしれません。
しかし人には、使命がある。
縁あって飲食業界に入り、苦労しながら技術を身につけたきたのは、偶然とは思い難い。
いま目の前の人に食を通して、感動や喜びややすらぎを提供することができたら、その人は少し救われるかもしれない。
それで人生を変えることだってできる。
回り回って、世界中の幸せの為に活動する人の明日への力になることだってできる。
自己実現でありながら、使命感を持っていれば、ちゃんと人の役に立つことができる素晴らしい仕事だと思います。
失敗しないためには失敗を知らなければ
なぜ、10年持続するお店が1割に満たないのか。
飲食店専門の税理士・財務コンサルタントの水野剛志氏『飲食店経営で成功するための「お金」のことがわかる本』(日本実業出版社)に、失敗する3つのパターンが紹介されています。
1.数字嫌いのワンマン経営
最初の出店で何となくうまくいき、その勢いに任せた多店舗展開するものの、お店の管理ができていないため、例えお客さんが入っていてもお金が残らないターンです。
今はリスクの時代です。
天災もあれば、社会情勢など外部要因だけでなく、バイトテロなど予期せぬ事態も起こりえます。
お店の財務管理ができておらず、収支計画をどんぶりにしている経営者はひとたび逆風が吹いた時、あっという間に閉店に追い込まれるそうです。
2.再現性のない一発屋経営
感性に任せた店舗づくりや店舗展開をする右脳型経営者も、失敗するリスクが高いとのこと。
運よく1店舗目が繁盛したとしても、なぜ繁盛したのか、その理由を把握していないため、店舗展開を進めていくと同じように繁盛させることができません。
計画性もなく行き当たりばったりになるので、安定した成長を望めず、一発屋で終わってしまうのだそうです。
3.情報知らずの職人経営
どれだけ頑張っても、努力の方向性が間違っている為に結果が出ない、努力型経営者の典型がこのパターン。
経営者が現場に出て必死で働くも、なかなか利益が出ない。
その原因は、料理やサービス、店づくり以前に、マーケットに合っていないなど計画段階で失敗していたり、融資や助成金などの制度を知らず、十分な準備をしていなかったために追い込まれてしまうようです。
水野氏によると、失敗する経営者は3つのうちいずれかに当てはまっているんだそうです。
失敗する経営の共通点
飲食店経営で失敗する3つのパターンには、共通点が見受けられます。
一言でいえば、戦略がない。
戦略は「達成すべき目的に対して、自身の持っている資源(時間、資金、スキル、情報など)をどこに集中させるか」ということですが、それを十分に考えていないことがわかります。
料理がうまい人に多いのですが、適当にやっても美味しく作れてしまう才能を持っている人は、その根拠を自分の感覚頼みにしてしまいます。
塩の量は?と聞けば、「このくらい。」
焼く時間は?と聞けば、「良い感じになったら。」
まあ料理は、美味しく仕上げるのがひとつの大きな目的ですから、それでも良いかもしれませんが、経営はもっと複雑で、料理と同じようにはいかないということでしょう。
「あいまい・漠然」では、微妙なずれが時間と共に致命的になるようです。
失敗しないためには?
失敗しないためには、そこから学ばなくてはいけません。
目的からコンセプトを組み立て、誰を狙い、どんな戦略と戦術で戦うのか。
勝率を上げる為には十分なリサーチを行い、リスクを想定してあらかじめ回避し、勝てる根拠を出来る限り明確にする必要があります。
そういった諸々を怠らないことで失敗する確率はぐんと低くなるはず。
と、理屈で簡単に言えますが、実際に判断、行動してくのは難しいんですよねえ。