コロナ後、飲食店はどうなるのか?

新型コロナウイルスが世界中に与えた影響を見て、飲食店が今後どうあるべきか、深く考えさせられました。

ミシュラン3つ星のレストランも、立ち食いそば屋も関係なく、総じてダメージを受けています。

目次

飲食店の今後

飲食店は一般に、出来ることは全部やっておいて、あとは「待つ」ビジネス

まずマーケットがあり、そこで認知されても、来てもらわなくてはサービスを提供できない事業です。

いま、多くの飲食店では「待つ」ビジネスから「行く」ビジネスへの転換を図っておられます。

テイクアウトからさらに進んで、デリバリーへと広げているのです。

ウーバーイーツの急速な広がりが、それを示唆しています。

ミシュラン星付き高級レストランもデリバリー進出

デリバリーへと進出するのは、一般の飲食店だけではありません。

先だって、テレビで見ましたが、オランダでは、ミシュランの星付きレストランも、自宅でレストランの料理が作れる料理キットをデリバリーしていました。

レストランで提供するそのままのフルコース料理が、調理済みの状態で届けられ、動画を見ながら簡単な仕上げ調理と盛り付けをするだけのものです。

自宅で高級レストランのフルコースが食べれると話題になっているようです。

一食8800円と、デリバリーとしては高額ですが、星付きレストランの調理工程を追体験しながら楽しめるので、<食育>という観点からも面白いと思いました。

安さが売りの飲食店が生き残るには

今後、コロナ以前のように大勢で宴会をしたり、団体で食事をする機会は少なくなるでしょう。

2か月前後に及ぶ世界的な自粛生活は、人のライフスタイルや食に対する考え方を大きく変えました。

コロナが収まっても、この恐怖はしばらく人のこころを支配すると考えています。

少なくとも、人が密集した狭い店内で、飲んだり食べたりすることは憚られる。

バル業態の危機

安価でワイワイ楽しめる居酒屋やバル業態が流行りましたが、そうしたお店は客席を削り、席と席の間を透明のシートで区切り、店員はマスクをしなければいけません。

そうなると、魅力のひとつだった「楽しい雰囲気」は半減

さらに、客数を取り込む事で収益を上げてきたビジネスモデルは、とたんに儲からないモデルになってしまう。

家賃が高くても、安価で提供できたのは、店内に通常のレストランよりも客数を入れることが出来、回転率を上げる設計があったからです。

立ち食い業態も同様です。

窮地のジレンマ

こうした飲食業態でコロナ以前と同程度の収益を上げるには、残された道はひとつ。

単価を上げるしかない。

でも、安いことが、この業態の最も大きな強みです。

居酒屋と、ある程度の単価があるレストランでは、お客さん同士の距離が違い、それはそのまま、単価に反映される。

客席を削り、お客さんの数を制限するなら、単価を上げるしかないのですが、そうすれば、この業態の強みが消えてしまう。

その分を穴埋めするには、テイクアウトやデリバリーをするしかない。

テイクアウト、デリバリーの限界

しかし、テイクアウトやデリバリーをするといっても簡単ではありません。

このコロナ禍で一気に増大したでしょうし、もともとそこには、テイクアウト専門のお弁当屋さんやデリバリー業態がありました。

ということは、競合が増え、限られたマーケットを奪い合う形になり、一部では価格競争が激化するでしょうし、そうなればせっかく参入しても大変なだけで、収益は上がりません。

消耗しあう可能性が高い。

それならば、まだネット通販をしているお店は少ないので、チルドか冷凍で、全国どこにでも届けられる事業を考えた方が良いかもしれません。

流れに乗るか、反るか

ある程度単価のとれるレストランは、客席と客席の間を広くとれますので、配置を工夫するだけで客席を削らずとも済むかもしれません。

考えなければいけない脅威はむしろ、強大な敵。

景気です。

2020年はGDPが最低でも20%マイナスになると言われていますから、そうなれば、年収400万の人は320万になる。

1000万の人なら、800万。

そうなった時に高級レストランに食べに行くかと考えると、絶対数はかならず減るでしょう。

専門料理をデリバリー

では、オランダの星付きレストランのように、フルコースのデリバリーをするか。

地域によりますが、そのマーケットは意外と大きいのではないかと思います。

コロナ前まで、そうした業態はなかったし、コロナの影響で、家で美味しい料理を食べたいというマーケットが急速に広まったからです。

今は、インターネットで、地域ごとの世帯年収がおよそわかりますから、比較的ゆとりのある世帯が多いエリアなら、有力な選択肢になると思います。

あえて、逆を行く

もうひとつ、技術とマーケティング力を持ったレストランがとれる選択肢があると考えています。

それは、お客さんの数を極限まで絞って、客単価を極限まで上げて<プライベートレストラン>という新たな価値を作っていく事です。

私は、ここに挑戦したいと思っています。

いくら外食は憚られるとはいえ、外で優雅にすごしたいという需要は消えることはありません。

地域によりますが、300~400年くらい積み重ねてきた文化です。

プライベートレストランとは?

私が考えているのは、完全予約制。

1日1組のみ。

多くても6名様まで。

客単価は最低でも3万円。

あなただけのプライベートなレストラン

というコンセプトです。

私邸に招待

レストランは豪華な別荘のような作りで、その日は、そのお客様の為だけにすべてを用意します。

花も、レイアウトも、食材も、器も、調理法も、ワインも。

音楽は、すべて生演奏です。

アーティストを呼んで、そのお客様の為だけに演奏いただきます。

一人10万円いただいても惜しくはない世界を創り出す。

そこまでするレストランは多くないでしょう。

そして、お金でも仕組みでもなく、最終的には人間力に依存する為、なかなか新規参入もできないはずです。

 

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