5大シャトーの話|一流であることの証明

ワインはストーリーがあるから面白い!

ワインの面白いところは、ストーリーの多様さと奥深さにあると思います。他の酒類にこれ程の多様さはありません。

特に、ワインを歴史的に楽しんできたヨーロッパ諸国では、政治や文化、歴史と密接に関わっています。

<5大シャトー>をご存知でしょうか?

5大シャトーとは1855年に、フランス・パリ万博博覧会にあたって、当時の皇帝ナポレオン3世が、取引されている流通価格を基準に、ボルドーワインの格付けを行ったのですが、そこで、頂点にたった、5つのワインのことです。

目次

1855年パリ万博

舞台はフランス・パリ。今から160年以上前の、1855年のことでした。

その年、パリ万博博覧会が開催されることになっていました。当時の皇帝ナポレオン3世は、3年前に国民投票によって即位したばかり。彼の叔父は、フランスの英雄ナポレオン1世です。叔父がヨーロッパを席巻し、多くの人から喝さいを浴びたように、彼もまた、英雄に憧れていた。

しかし彼の軍事力は乏しく、その才覚もありません。前王朝で陰謀計画を企てたものの、2度も失敗してしまった、それをよくわかっていました。

だから彼は、国民のためにあらゆる手を尽くします。

労働者や農民の貧しい人たちのために、公共慈善事業をすすめ、病院を作り、孤児院を作りました。首都パリを整備し、現在の洒落た街並みを作り上げたのも彼の功績によるものです。それから、国内産業にも力を入れます。おもに製鉄、紡績工業は彼の時代に大きく発展しました。

その集大成として世界に誇示するために、この博覧会を開いたのです。

ワインを格付けする!?

ところで、彼には好きなものがありました。

そう、ワインです。それもボルドーの赤ワイン。彼は2度に渡る陰謀計画の失敗から、イギリスで亡命生活を送っていました。イギリスは実は、ボルドーワインの一番の消費国。むかし、ボルドー一体を領地に持つお姫様と、イギリスの王子様が結婚して、一時はイギリス領になったこともあるのです。

彼は自分の好きなボルドーワインの素晴らしさを世界中に伝えたかった。そこで、一考。

「そうか、ランキング形式にしたらおもしろいぞ!」

彼はボルドー商工会議所に命じ、出展するボルドーワインを1級から5級まで分類させました。

そうして出来上がったのが、この格付けです。現在の姿で61のシャトーがランクインしました。

世界の頂点に君臨するワイン

シャトーというのは、フランス語で「城館」という意味ですが、ボルドーにおいてはワイン醸造を行う生産者のことを、古くからそう呼びます。ボルドーには、現在でも7000あまりのシャトーがありますから、そのうち、61のシャトーしかランクインしていないというので、しかも地区が限定されていたため、不平不満、批判も多く出ました。

しかし、格付けされたシャトーは当時の取引価格や、品質、それから品格においても、別格であり、それはだいたいにおいて、誰もが認めざるを得なかったことなのです。

ナポレオン3世も得意満面だったでしょう。なにしろこの格付けは、1973年に一度だけ変更を許したものの、現在に至るまでその価値は変わることなく、世界中に影響力を持っているのですから。

5大シャトー

さて、その頂点には、当時、4つのシャトーが立ちました。

シャトー・マルゴー。

シャトー・ラフィット・ロートシルト。

シャトー・ラトゥール。

シャトー・オー・ブリオン。

そうです、格付け当初、一級に格付けされたのはこの4シャトーだけ。5大シャトーと呼ばれるようになるには、制度が見直された1973年まで待たねばなりません。

それでは、不磨の大典のごとく変更されることのなかった格付け制度を覆した、歴史上もっとも挑戦的で、ユニークなシャトー、「シャトー・ムートン・ロートシルト」にはどんなストーリーがあるのか…

はたまた、5大シャトーはんぜ、今日に至るまで、その地位を確立し続けているのか…

それには、数々のドラマがありました。

5大シャトー物語

オリジナルストーリーで書き起こしていますので、よければお楽しみください。

5大シャトー物語番外編

さらに、5大シャトーに挑み、大きな成功を収めた2つのワイン物語もご紹介します。

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